2025/12/10
【第2118回】
昨日は、新国立劇場で「スリー・キングダムス」を観劇。イギリスの劇作家サイモン・スティーヴァンスが2011年に本国で上演した作品です。イギリス、テムズ川に浮かんだ女性の変死体の発見からドラマは始まる。犯人を追って二人の刑事がドイツ、ハンブルグ、エストニアへと追跡していくストーリー。現実と幻想とを交互に繋ぎながら一筋縄ではいかない展開に芝居を観慣れていない観客は戸惑うかもしれない。発せられる台詞もエグい。国が運営する新国立劇場だからこそ可能な挑戦的・革新的な作品。作家が物語と戯曲の関連性についてこう述べている。「物語は欲望から生まれ、登場人物が何を求めているかを理解することから始まる。欲望の具体的な性質を見極めることは、政治的・感情的・哲学的な洞察を構築する鋭い方法である」う~ん...含蓄ある言葉ではあるがこれを視覚化、しかも限られた舞台上で伝えることは至難の業でございます。
今回の舞台にトム所属の森川由樹が出演していました。昨日の舞台でもキレのある芝居でシーンを盛り上げていました。新国立劇場演劇研修所第6期を終了し、2013年にトムの「百枚めの写真~一銭五厘たちの横丁~」でデビューして12年。ここ数年の彼女の演技は目覚ましいものがあります。今年8月に上演した「鬼灯町鬼灯通り三丁目」でも難役を繊細かつ大胆に表現してくれました。一人の俳優が時間を重ね成長する姿を見続けることもプロデューサーの楽しみのひとつですね。

まだまだ魅せます

