2025/12/05
【第2116回】
「五十億の中でただ一人」12月3日に無事千秋楽を迎えることが出来ました。公演中、一番恐かったのがインフルエンザ感染による公演中止。メール、電話が鳴る度にドキッ!こんな日々はとても心臓に悪い。この難関を見事に突破してくれたキャスト、スタッフに唯々感謝でございます。今回の芝居、演劇評論家の方々も来てくれました。観劇後のY氏の一文一部を紹介します。
「反戦」をテーマに、衒いもなければまわりくどい物言いもない愚直なまでの舞台。しかし、だからこそ今の不気味な時代を逆照射している。タイトルの「50億」は地球上の人々の数。一人ひとりに50億分の1のかけがえのない人生がある。それを一瞬にして奪うのは愚かな指導者が号令一下始め、それに熱狂する国民が行う戦争。「人間ひとりの命は地球より重い」と言って人質と犯人を交換した首相がかつて日本にもいたが、「人間ひとりの命」など鴻毛(こうもう)より軽いとばかりに戦争準備をする首相もいる。戦争は指導者に躍らされて国民が熱狂するのだというのも今の日本を見れば、戦時を追体験しているようなもの。
こんな芝居が上演されているうちはまだ人間を信頼していいと思う。
日本のみならず、世界でも多発している大規模火災、この光景を見るたびに戦禍に陥った時のことを彷彿とさせます。そしていまだ続くロシアによるウクライナへの侵略戦争、ガザでの7万人の死者を超える惨状、世界は確実に危うい彼方へと突き進んでいるような気がします。
2025年11月24日のテレビ朝日の報道によると、台湾有事に関する世論調査で、33%の人が「戦争は必要」だと回答したと報じられています。
戦争という化け物の実態を想像できない人たちがこれからも増えそうで無気味なニッポン...しかも、若い人たちに多いと聞くとますます憂える日々でございます。

平和でこその風景

