トムプロジェクト

2023/10/30
【第1816回】

コスモスの季節ですね...庭の片隅に可憐に咲いているかと思えば、畑一面に群生しているコスモス。おいらがこの季節で一番のお気に入りの花です。中でも、福岡市博多湾に浮かぶ自然豊かな能古島アイランドパークで開花するコスモスは、遅咲きも含めると10月上旬~11月上旬まで見頃を迎えます。ピーク期には約50万本が咲き、海を望む丘は色鮮やかな花のじゅうたんで覆われます。この時期になるといつもこの島を想い出します。市営のフェリーで10分もあれば行ける島で、おいらが好きな作家・檀一雄さんもこの島がお気に入りで住んでいました。今は息子さんの檀太郎さんが引き継いで住んでいるみたいです。実は、おいらもこの年位になったらこの島で晩年を過ごしたいと思ったくらいの魅力ある島です。

島の浜辺で食べた魚介類、亡くなった芝居仲間と昼間から飲んだくれ、島の散歩道に立つ檀一雄文学碑に記された「モガリ笛 いく夜もがらせ 花二逢はん」の句を絶叫した日が懐かしい。

さだまさし作詞・作曲で山口百恵が歌った「秋桜」も絶品ですね

 

淡紅の秋桜が秋の日の
何気ない陽溜まりに揺れている
此頃 涙脆くなった母が
庭先でひとつ咳をする
縁側でアルバムを開いては
私の幼い日の思い出を
何度も同じ話くりかえす
ひとりごとみたいに 小さな声で

 

コスモスを見事に描写し、歌に昇華した昭和の名曲です。

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秋桜

2023/10/27
【第1815回】

今シーズンは不満たらたらの采配でシーズンを5位で終えたライオンズ松井監督が最後にやってくれました。昨日のプロ野球ドラフト会議で大学野球界左腕ナンバーワンの国学院大武内夏暉投手の交渉権を獲得しました。ソフトバンク、ヤクルト含め3球団の競合の中、くじを引き当てました。地元福岡の出身者だけにソフトバンクは相当に悔しいに違いない。なんだか最近福岡出身の選手がぞくぞくとライオンズに集まってきてるのも何となく縁を感じます。だってライオンズはもともと福岡の球団なんだもの...近未来、ライオンズが博多に戻り、ソフトバンクが大阪に帰るなんてこともありかな?なんて思ってしまう。

このドラフト会議1965年に開始されて58年になろうとしている。考えてみればプロ野球選手を夢見て希望の球団に入れないなんてなんだか可哀想な気もしますが、この制度が無ければ間違いなく金満チームが一人勝ちになるに違いない、ソフトバンク、巨人なんてところに有能な選手が集まればつまらんプロ野球になるに違いない。嘗て、この制度がありながらインチキして選手の我が儘を通して球界の盟主読売ジャイアンツに入団した投手が居ましたな...野球の神さんもちゃんとみてござる。最近の巨人はすっかり駄目になりましたね。

スポーツにはダーティなイメージは似合いませんことよ...女性問題でライオンズに迷惑掛けてしまったホームラン打者もどうするんだろうね?出処進退早くしないとますます印象悪くしちゃうと思いますがね。

久しぶりに御茶ノ水にあるニコライ堂の前を通りました。学生時代にニコライ堂の鐘の音を聴きながら癒された、あの日あの時を想い出しました。

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ニコライ堂

2023/10/25
【第1814回】

久しぶりに挫折してしまった。第168回芥川賞受賞作、井戸川射子著「この世の喜びよ」。

ハナシの筋は、50歳くらいと推定される主人公の務めるスーパーで、15歳の少女と出会い、仲良くなり、喧嘩し、仲直りに向かう、という小世界を描いたもの。この作家、もともと詩人で言葉の選択が独特と言うより、イメージ先行で思いついた言葉を感性に従って配置しているので、主語が途中で入れ替わったり、助詞の使い方などなど従来の文章と比べかなり違和感を覚えるぶんかなり読みづらい。そして何故か言葉がすんなりと入ってこないのである。作家が敢えて、従来の小説にたいする新たな試みとして新しい文学の在り方を提言、提案しようとしているのかな?でも、入ってこない言葉ほどイラつき虚しくいらだたしいこと極まりないのでございます。

権威好きで文壇という特殊な群れに安住なさってる芥川賞選考委員の高邁な先生方、時折、いったい何を基準にして賞を選んでるのかな?と思うときがたまにある。紙文化が危ぶまれている昨今、出版業界にも忖度しながら仕事しなきゃならんのも分かります。なにも無理して賞を出す必要もないと思います。今年度は受賞作なし!こんなことがあっても決しておかしくありませんことよ。

賞を受賞しなくても世界的な作家になった村上春樹氏が居るんじゃありませんか...権威を重んじるあまり逆に、この国のカルチャー地盤低下してるんじゃないかしら?と思ってしまいます。

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色づき始めました

2023/10/23
【第1813回】

太平戦争中の1943年10月21日、2万人以上の学生が、雨の神宮外苑競技場を行進する映像を観るたびに胸が詰まる思いがする。まだたくさんの勉強をしたかったに違いない若者が、勇壮な音楽にスタンドで手を振る大勢の女子学生に囲まれて、銃を持ってずぶ濡れの学生服のまま視線を前に向けながら進む姿に彼らの葛藤を感じる。入学したばかりなのになぜ戦争に行かねばならないのか?日本、家族を守るために命を捧げよう!

正直言って、戦死していったこの学生たちが生きていれば、この日本も少しはマシな国になったのかもしれない...勿論、敗戦後この国が見違えるような発展を遂げたのは、日本人の勤勉性があってのことだ。いつの世も、何故か必要な人ほど早く世を去ってしまう。

戦地でよく聞く話、軍隊の上層部は徹底的に部下をいじめ倒し、戦局が危うくなると民間人を置き去りに真っ先に逃げる。こんな人たちが戦後政治にかかわったお陰で今の日本国の姿があるのも事実だ。

昨日、長崎と四国で補欠選挙があった。あれほど二世議員の弊害が言われてるさなか、なんと又、二世議員が誕生しました。確かにすべてが悪いと言わないまでにしても、二世議員の無能さ、そして代々継承しながら政治屋商店を永続して行きたいというセコさにほとほと嫌になっているこの感覚がわからない旧態依然の村社会を見せられた思いです。

本日のお決まりの増税メガネおじさんの所信表明演説もいつもながら虚しゅうございます。

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ゼラニウム
~花言葉、決意~

2023/10/20
【第1812回】

ミラクルロッテマリーンズ。ファーストステージでの10回の逆転劇、そしてまたもや昨日の盤石のチーム力を誇るオリックスを相手に9回での逆転。おいらも長い間野球観てるけどこんなことは珍しい。金満球団に勝ってくれると本当に嬉しい。昨日も角中がチャンスを作り、若手がそれに応える。安田選手はラッキーボーイ的な存在になっている。おいらはロッテの選手の中で荻野外野手が好きだ。小柄ながらしぶとく塁を狙う果敢な姿になぜか応援したくなる。角中外野手も渋いね。ねちっこくバットを短めに構え投手に向かっていく姿はまさしく職人芸だ。派手さはないがチーム一丸となって最後まで諦めないベンチの様子を見てると、なんだかちぐはぐなライオンズも見習って欲しいものだ...ベンチでヘラヘラおしゃべりしてる松井監督、平石ヘッドコーチなんとかせんと来年もBクラス確定だ。今日ロッテが勝利すると本当にわからなくなる。

平和ボケしたこの国からガザ地区の悲惨な光景を見るたびに心が痛む。戦争はいつの世も弱者、子供たちに甚大な被害をもたらす。戦争をして得をするのは武器商人だけだ。その際たる国がアメリカ合衆国、バイデン大統領の姑息な手法がなんとも信用できない。第二次世界大戦後、世界のお巡りさんみたいな振る舞いをしながら常に富を蓄えていったアメリカ。富のチカラにふれ伏してはならない...一刻も早い停戦を願うばかりだ。

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こっちの蜜はあ~まいぞ

2023/10/16
【第1811回】

先週の土曜日は、横浜演劇鑑賞会が発足しての50周年記念パーティに出席してきました。トム・プロジェクも多くの作品を呼んでいただいた鑑賞会です。東京と言う日々250から300ステージばかりの演劇、ショーが開催されてる地からの近場で50年継続してきたことに先ずは驚きました。横浜の人たちの文化に対する関心度の高さを感じます。そして、この鑑賞会の人たちの肩のチカラの抜け具合、明るさ、親しみやすさがとても好きです。

ハマっ子と言えば、隣人やよそ者を尊重し、開放的で寛容、そしてのんびりマイペースに先進的、という開港以来からのハマっ子気質が共通しているように思えます。そして乗りがいいですね。「百枚めの写真」を公演した時に、観に来ていただいた幹事の方に、横浜で上演する時には戦時中の会員さんの家族の写真をロビーに展示したらいかがですか?と提案したら即実行、公演当日懐かしい写真がロビーを埋め尽くしていました。自分の意見を持つが、人の意見も素直に聞き入れる乗りの良さを実感した次第です。

この日会員さんは勿論、創造団体の方々も出席し楽しい時間を過ごすことができました。

これから演劇を続けていくこと大変なことですが、こうした芝居が好きで創造団体を応援してくれる方々が居ることは心強いことです。AIの脅威が迫る中、演劇だけはAIに取って代われないアートだと思っています。がしかし、クオリティが問題でございます。多種多様な楽しみ方があるなかで演劇がいかに残れる存在感を示し得るか?創造団体としては日々アンテナ張って邁進するしかありませんね。

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横浜 桜木町より

2023/10/11
【第1810回】

昨日はセパ両リーグの最後の試合がありました。パリーグのロッテと楽天の試合、勝った方がクライマックスシリーズに出場出来るのでまさしく大一番。おいらは勿論ロッテを応援しました。だってライオンズの浅村をはじめ、優秀な選手を言葉巧みに楽天へ連れ出した石井監督には良いイメージがありません。そりゃプロの世界、お金も大切だし本人の野球生命を考えると仕方ない面がありますが、この人のやり方には狡猾な臭いが感じられてどうしても好きになれません。楽天は震災があった時に優勝に導いた星野監督の時代が一番輝いていた球団だと思います。一方、ロッテはライオンズ同様資金不足の球団ながら、今年就任した吉井監督の下で良く戦ったと思います。黒木ピッチングコーチ共々、選手の体調管理をしっかりとしながらの選手起用も感心します。選手を使い捨てのコマみたいに使う指導者の下、選手寿命を短くしながら去っていった選手が何人居たことか...どの指導者の下でプレーできるかはもう運命としか言えないのかな。

昨日の試合の勝因はロッテ小島のナイスピッチングに尽きると思います。一回裏楽天、いきなり満塁の好機が訪れたのに岡島のゲッツーでチャンスを潰したのが痛かったですね。そのあともゲッツーの山、これじゃ勝てませんがな。その点ロッテはツキがありましたね。先取点の岡のポテンヒットによる先取点、追加点が欲しいときに安田によるレフトポールに直撃するホームラン。野球の神様はちゃんと見てたんですね!

土曜日からは、ロッテは地元でソフトバンクを迎えてのクライマックスシリーズ第一ステージ。こちらもおいらはロッテを応援しますよ。そういえば2010年に当時のロッテはクライマックスファーストステージで2位埼玉西武に連勝、ファイナルステージでは福岡ソフトバンクを相手に1勝3敗から怒涛の3連勝を飾りクライマックスを突破。日本シリーズでもセ・リーグ覇者の中日に4勝2敗1分で勝ち越し"史上最大の下克上"を達成。これはホンマに凄かった...今年は、どうかな?わずかながら期待してまっせ!

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北海道で見つけた秋桜

2023/10/10
【第1809回】

10月7日・8日、北海道の苫小牧と伊達に行って来ました。来月上旬に公演する風間杜夫ひとり芝居「カラオケマン~最後のロマンス~」に備えてのワークショップということで作・演出の水谷龍二さんと一緒に一人芝居に関わることをいろいろと話してきました。苫小牧は水谷さんの出身地ということで、同級生の方々もたくさん参加されていました。苫小牧と言えば王子製紙、嘗ては日本全国の新聞用紙を調達していた工場が今も稼働中。この企業城下町の中で育った水谷さんが如何にして物書きや稼業としての夢を育んできたのか興味深いところでもありました。そして、こうやって水谷作品を上演することに尽力してくれる仲間が居ることも水谷さんの人柄であると思います。その方々が用意してくれた昼食会場、第一洋食店のハンバーグ定食とっても美味しかったです。そりゃそうだ、104年の歴史がある雰囲気満点のレストランでした。

翌日は伊達市。おいらも初めて行く街でした。苫小牧から太平洋を左に見ながら鉄の街、室蘭を過ぎたところにあり、有珠山と噴火湾に囲まれて、豊かな恵みが至る所にありながら文化の香りがするところでした。なんと、トム・プロジェクトの作品を2004年からこれまで7本上演してるんですからなかなか見識が高いなるほど納得のいく街だと思いました。この日は集まった人たちに教材を使って台詞を喋っていただきました。緊張しながらも楽しく演じてくれました。質疑応答も楽しくあっという間の時間が過ぎていきました。こうやって地方の人達と接することによって一人でも多くの演劇人口が増えると嬉しいな...見知らぬ人たちの出会いはプロデューサーにとっても次なるヒントになる貴重な機会です。

今回の機会を設定してくれた北海道演劇財団の新堂猛さんにはただただ感謝です。

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総合公園だて歴史の杜正門

2023/10/06
【第1808回】

2023年第169回芥川賞受賞作、市川沙央さんの「ハンチバッグ」読了。43歳になる著者は筋疾患先天性ミオパチーによる症候性側弯症および人工呼吸器使用・電動車椅子当事者でもある。読みだした途端に、ミオパチー患者の主人公がハプニングバーのエロ記事を書いているところ始まるのだからおいらも度肝を抜かれる。舞台となっているグループホーム、医療器具などの描写が緻密であると同時に、主人公の肉体感覚の描き方が、彼女に繋がれている器具の一つ一つの感触や体温と機密に接続しており、文章の描写力に圧倒される。その中に、彼女が紙書籍を読むのに難儀しているために電子書籍を「あれは本ではない」と主張する人たちを揶揄する件は、なるほど説得力がある。

全編を貫くものは安易な共感を決して許さないという姿勢だ。綺麗ごとでもない倫理でもくくれない人間それ自体を丸ごと小説に表現していることに著者の強い意志を感じる。

このなんとも予測しがたい時代に、書き手も含めどんな作品が出てくるのか?これまでの常識と非常識の捉え方、価値観も真逆になるかもしれませんね...でも人の優しさ愛そして感謝の気持ちだけはいつの世も不変であることを信じたい。

「沼の中の淑女たち」昨日、長野県中川文化センターで旅公演初日を迎えることが出来ました。11月2日の千秋楽まで何事もなく無事の公演できることを祈るのみです!

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秋の薄暮

2023/10/04
【第1807回】

「沼の中の淑女たち」東京公演、昨日無事に千秋楽を迎えることが出来ました。連日大入り、お客さんの笑いも絶好調。何よりもキャスト、スタッフ何事もなく終えたことに感謝です。今回も、いつものように速達でハガキ一杯に見事に編集し感想を自筆で書いたO氏の郵便物が劇場に届きました。

 

田村孝裕はやはり今というものを切り取る天才だと今日も芝居を観ながら納得していました。辛口大人の童話とでも申しましょうか大富豪の跡取り娘とそこに同居するなんだかいわくありげな女性3人と話の進行役のようで実は鍵を握る若い女性の組み合わせにこの「沼」と「推し」の現代語が絡んで芝居好きの心にサクサク入ってくる話の展開となりました。この話の見えない登場人物が韓流のアイドルだというところが一層今の世相を匂わせて、こちらまでハングルのアイドルを垣間見たくなるから演者一同の熱演まさに今日の「推し」です。演劇鑑賞という「沼」にはまって50年。本日もまた素敵な芝居に巡り会えました。感謝。

 

いちはやくこんな感想を送って頂き、こちらこそ感謝です。

明日から全国各地での地方公演が始まります。東京公演の勢いそのままを地方のお客様に観て頂ければ本望です。このどんよりした空気感を吹き飛ばす芝居ですから、おおいに笑いもやもやした気分を晴らしてくださいね。

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秋の木の実 ハナミズキ

2023/10/02
【第1806回】

「沼の中の淑女たち」東京公演、残すところ今日と明日2ステージとなりました。芝居は順調に、いや快調に手応えを感じながら進んでいます。土曜日の夜のステージ終演後にトークショーがありました。この日は2回公演だったために役者さんも相当お疲れだったと思いますが、お客様のためにしっかりと裏話を面白おかしく話されていました。その中で羽田美智子さんが「この芝居は6人で走ってきたからね...」と話されたときはおいらも熱いものを感じました。体調不良で無念にも降板した岡本麗さんと共に舞台を相務めていたんですね...この思いがあっての日々の舞台、そりゃ面白い芝居になるはずですわ。

これを観客にストレートに伝えることが出来る羽田さんの人間性がよくわかる。俳優である前に、一人の人間として人の前に立つことの意味を示された発言だったと思います。

それにしても、今回の芝居の座組の良さを改めて感じました。芝居はナマモノだけに当然トチリがあることも想定内の出来事、その場に遭遇した時のお互いの一瞬のやり取りで座組が上手く行ってるのか不協和音なのかが良くわかります。おいらがこれまで観る限りにおいて、この座組は限りなくハナマルに近いベストなチームです。

神無月に入りました。この月に日本中の八百万(やおよろず)の神様が、出雲の国(島根県)に集まり会議を開き、他の国には神様がいなくなってしまうことから「神無月」と呼ばれてきました。こんな呼び方ができる日本の言葉、ロマンを感じます。

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赤坂にある公園