トムプロジェクト

2024/12/11
【第1974回】

新宿のジャズ喫茶の先駆者であった中平穂積さんが88歳で亡くなりました。新宿アルタ裏に今もあるロールキャベツアカシアの3階にオープンしたジャズ喫茶「DIG」はおいらの青春そのものでした。まだ若かったオーナー穂積さんの煎れる美味なるコーヒーと、数多くの名盤レコードを上手くチョイスしながら針を落とし店内をジャズ一色にしてしまう演出は見事でした。勿論、私語は禁止、沈思黙考しながら聴き入るお客、読書しながらBGMとして聴き流す客、それぞれのスタンスで心地よい時間を過ごしていました。おいらもこの空間で2時間~3時間至福の時間を楽しみました。音楽も時代と共に変遷の道を辿りました。フリージャズの登場は刺激的、ジョン・コルトレーン越えようとしたピアニストのセシル・テイラー、サックスのアルバート・アイラ―、オーネット・コールマン。彼らの出現は恰も世界各地で起こった既成の政治、アートをぶっ壊す運動と見事に連動していました。今でもマンネリに陥りそうになった時には、彼らのCDを取り出し己に喝を入れています。

その「DIG」も閉店し今は紀伊国屋書店裏、靖国通りに面した「DAG」を残すのみです。

息子である中平塁さんが飄々とした佇まいで頑張っています。昼間の時間が狙い目ですね。夜になると常連さんとどこぞで聞きつけた新規のお客さんで溢れかえり、ジャズ喫茶というよりもジャズバーの賑わいで音自体は添え物かな。

 

昨日、ノルウェーの首都オスロでノーベル平和賞の授賞式がありました。日本被団協の受賞挨拶を代表の田中熙巳さんがスピーチしました。92歳とも思えぬしっかりとした言葉が印象的でした。世界の狂った指導者に届けばいいのですが...でも、これも確かな一歩です。

核無き世界、夢みたいな現実ですが現存している人たちが思い行動に移さねば間違いなく人類滅亡のシナリオは進んでいる気がしてなりません。

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幻想2

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