トムプロジェクト

2025/03/07
【第2007回】

来週、15日~16日、2日間、両国シアターΧ(カイ)で上演する「モンテンルパ」の稽古が始まりました。初演はコロナまっただ中、観客数制限付の2021年1月でした。無事に公演が終わったときの喜びは今でも忘れることが出来ません。再演が2024年2月東京、東北併せて20ステージ。そして今回が再々演、公演を重ねる度に芝居が立体的になってきたと思います。特に再演時、台本を大幅に改訂したことによって日本軍の加害者としての立場を鮮明にしたことが大きな要因。戦争の本質そのものが加害者、被害者で成り立っています。

と言うことは勝者、敗者いずれもなんの得もない不毛の消耗戦。なのに、未だ一部の独裁者の独善的な思想、行動で世界を不安に陥れています。

先日、ある若い演劇愛好家の女性と話す機会がありました。彼女曰く、「戦争に関する芝居は極力観ないようにしていました、なぜなら辛く悲しくなる...」そんな彼女が、「おばぁとラッパのサンマ裁判」を観て気持の変化が起きたとのこと。要は創り手の創意工夫ひとつで悲惨な光景さえ、未来を見据えた希望へと変貌出来うると...芝居の可能性を感じます。歴史的事実を芝居のチカラで観客の想像力を喚起させる時空間にしてしまう。

今回は短期間での稽古になりましたが、キャストの皆さん初日から立ち稽古ながら台詞がばっちり入っておりました。今年は戦後80年という節目の年、そしてウクライナ、ガザなど一触即発状態。演劇を通して、少しでも平和な世界にしたいという気持の表れだと思います。

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晴天の白梅

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