トムプロジェクト

2026/02/04
【第2139回】

久しぶりに寺山修司を読み返しています。寺山修司と言えば1970年代、演劇実験室「天井桟敷」を結成し、当時、紅テントで人気を博していた状況劇場と張り合っていましたね。おいらも市外劇も含め何本か観劇しましたがなんとも摩訶不思議でとんがった印象でした。見世物として、不条理劇として既成の価値観をあざ笑うかのように展開していた印象が強かった。1974年に脚本監督した映画「田園に死す」を観た時に、寺山さんの短歌に彼の原点をみる思いがしました。その後も精力的に活動していたのですが1983年に47歳という年齢で亡くなりました。先日もNHKの「日曜美術館」で懐かしい顔を拝見したのですが、青森訛りで誠実にインタビューする姿に、彼の朴訥な人間性を改めて思い知らされました。

 

かくれんぼの鬼とかれざるまま老いて誰をさがしにくる村祭り

見るために両瞼をふかく裂かむとす剃刀の刃に地平をうつし

濁流に捨て来し燃ゆる曼珠沙華あかきを何の生贄とせむ

亡き母の位牌の裏のわが指紋さみしくほぐれゆく夜ならむ

吸ひさしの煙草で北を指すときの北暗ければ望郷ならず

 

映画「田園に死す」のなかでも寺山さん自身が朗読しているのですが、表現を超えたより深い精神性に惹かれます。そんな思いで昨日、映画のサントラ盤を久しぶりに聴きました。

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田園に死すサントラ盤

2026/02/02
【第2138回】

先週の土曜日は、新宿シアタートップスにてトラッシュマスターズ第43回公演「わたしの町」を観劇。現代社会の闇に鋭くメスを入れ、徹底的に問題提起してきた中津留章仁の最新作である。現代演劇において今を描く作家がいなくなったときに演劇は衰退するかもしれない。勿論、演劇も娯楽の一部である以上、エンタメ性がないと飽きられてしまう。いつもながら恐れることなくこの劇団の真正面から現実に向き合っている姿勢に先ずは拍手を送りたい。

今回の芝居は、北海道のある過疎の町の話である。この手の問題は日本のあちこちで深刻なこととしていつも話題になる。産業は漁業、農業、林業という一次産業で、どれも後継者不足で若者は出ていくばかり。これも言ってみれば国策の無能から発したことであり、亡国為政者の責任がもっとも大きいのだが。地元高校の閉校が持ち上がり、子どもたちを巻き込んだまちづくりに向けて、大人たちの試行錯誤が始まる。休憩を10分挟んで、数年後、子供たちも大人になり男女間の恋愛事情も交えながら町おこしも少しづつ前進していく。どこにでもあるストーリーなのだが、笑いも交え2時間50分という長丁場を飽きさせなく引っ張っていく中津留の手腕は見事だ。

この国が抱えている難題はあまりにも多く、深刻すぎる。一週間後にはこの国の未来を決める選挙が迫っている。ほんまによーくアタマを巡らせて貴重な一票を入れてくんしゃい皆の衆。

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よか芝居です!

2026/01/30
【第2137回】

今日も寒い日ですが、乾いた空気の中で青空と雲が見事にマッチした空でした。こんな空を眺めていると、ふらっと旅に行きたくなりますね。そんな時に見つけた本が「世界100ヵ国の旅で、出会った人たちが教えてくれた、人生で大切なこと」。旅人KAD(かど)さんが記したエッセイです。ごく普通に建築士として仕事していた著者が、移住先を探して世界中を旅し、そこで出会った人々との対話から、人生で大切なことを学び、旅先での出会いと発見をSNSで発信し、昨年末に出版したばかり。

僕が好きなスペインの件にはこんなことが書かれていました。

 

スペインを旅してたとき、夜に地元のバルで飲んでたんです。そしたら、隣の陽気なスペイン人のおっちゃんと仕事の話で盛り上がって、文化の違いってやっぱ面白いなぁと。で、日本では「休日にちょっと仕事しちゃう」なんてこと割とあるじゃないですか。僕もつい癖で、休みの日にメール返したり資料つくったりしちゃうんですけど、ふと気になって、尋ねてみたんです。「ねえ、スペインでは休日に仕事することあるの?」そしたらおっちゃん、急に顔つき変わって、「それはな、犯罪や」って。え?いや、こっちは「あるあるエピソード」のつもりで聞いただけなのに、突然の重罪扱い。「仕事と休みはきっちり分ける。バケーション中にメール?それは家族への裏切りやで」と言われてしまいました。

その後、ホテルに帰って無意識にスマホで仕事のメール開いた瞬間「俺、いま密輸でもしてんのかな?」って罪悪感で震えたよね。

 

世界の場末で出会った庶民の人達から耳にした言葉が心地よく響いてくるのは、著者自身が心開いて旅していたからに違いない。

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今日の空

2026/01/28
【第2136回】

今日もどんよりと曇った寒い一日です。

昨年11月末にスーパーで購入したボラの卵巣がやっとカラスミになりました。それはそれは我が子を育てるような過程でした。まずは針で血抜きをしてから数回の塩漬けを繰り返し、それが終わったらお酒と焼酎に浸し数日間冷蔵庫で寝かし、頃合いをみてネット網の中に入れ天日干し。ベランダに干しているネットの中の我が子の成長が実に楽しゅうございます。色が変色していくさま、柔らかいものから次第に固くなっていく20日間はハラハラドキドキでもありました。なにせ初めての取り組みですから果たしておいらが口にしたことがあるあの絶妙な味が出せるのであろうか?何とも不安な日々でもありました。普段、ベランダ内になかなか踏み込んでこない鳥がネット網を見つめてるときなどは明らかにカラスミから発する匂いに惹かれてきているに違いないと確信しました。留守中にネットを食い破り持ち去るかもしれないとか、お日様の強弱で失敗に終わるのではないかとか...でも、徐々に固くなり本来のカラスミの色に近づくにつれ、何となく美味しい我が家のカラスミの誕生を予感した次第です。

そして、いよいよネットから取り出し包丁を入れ、最初の一切れを口にしたときの感激は何とも言えないものでした。何事もそうですが、手塩をかけて育てたものが一人前になった喜びは何ものにも代えがたい。よしゃ!来年はもっと数を増やして大量のカラスミ作りに励みたいと思った次第です。

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ネットで育つカラスミ

2026/01/26
【第2135回】

週明け雪の被害が各地で拡がっています。北海道千歳空港に7000人が足止めされ空港内で一夜を明かすなんてことも起きています。こちらも「風を打つ」山陰公演、雪のさなか昨日で無事終えることができました。現地の演劇鑑賞会に皆さんのお陰であり、キャスト、スタッフの努力の成果だと思っています。世界的な気候変動のせいでなかなか先が読めない状況になっています。それにしても、今回の突然の国会解散、大雪の中で苦心惨憺しながら候補者の掲示板を準備している様を見るにつけ、こんなもの本当に必要なのかしら?なんて思ってしまいます。選挙の経費に予備費855億円が閣議決定されたなんてニュースを聞くと、ほんまにこの国の政治に不信感が募ります。欧米の国での賃金が30年で倍になったのに対し日本は低賃金の国に落ちぶれてしまいました。腐れ切った自民党、原発、沖縄辺野古に対し頑なに反対していた立憲が中道改連合なるものに寄り集まった途端にぶれぶれになり、あとの政党も権力の様子を窺う風見鶏状態。れいわ新撰組も頑張っていた太郎さんが病に伏し、社民党、共産党もぶれてはいないのだが刻々と変化する国際情勢に対してどうなのか?なんて状態でございます。

支持政党無しのおいらとしては一体全体、どの政党に、そして誰が良いのやら悩ましいところです。只一つ心配なのが、若い人たちの投票率が上がったのは良しとしても、投票の先の根拠が評判悪いSNSに依存している点です。新聞、本を読むなり、若者同士で激論したりもっともっと視野を拡げて欲しいもんでございます。

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睦月終盤の夕暮れ

2026/01/23
【第2134回】

昨日は埼玉県上尾市文化センターで上演した「モンテンルパ」を観に行ってきました。寒い日に関わらず多くの観客で座席は埋まっていました。この芝居も今回で4回目となります。第二次世界大戦で、日本が加害者でもあり被害者でもあることを色濃くあらわした作品です。加害者の視点は事実であり消し去ることは出来ません。ロシアがウクライナに侵攻している以上に、日本とは全く歴史的にも領土と言えないアジア諸国を侵略し残虐な行為を行ったことの反省なくしては真の平和を唱えることできないと思っています。

渡辺はま子を演じる島田歌穂さんの最後の台詞が胸に突き刺さります。20世紀大晦日、横浜の港で、明日から21世紀が始まる前日に「21世紀に戦争は無くなるでしょうかね...」

その願いも空しく、現実はおそろしい様相を呈しています。

だからこそ、この芝居を上演する意義があるのでは...この国もなんだか戦前の序章を感じさせるような気がしてなりません。こんな時に、この芝居に登場する大和田獏さん演じる加賀尾秀忍みたいな人の出現が待たれるところです。僧侶でありながらフィリピンにある日本人捕虜が多数収容されてる刑務所に赴き、フィリピン大統領、マッカーサー、ローマ法王などと交渉し戦犯の日本への帰国を実現させた外交手腕。ましてや資源も乏しい日本、外交力こそが世界に存在感を示し得る最良の道だと思います。

来月の選挙、そんなことを可能にしてくれる人を選びましょうね皆の衆。

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「モンテンルパ」カーテンコール

2026/01/21
【第2133回】

今年一番の寒波が日本列島を襲来。現在「風を打つ」中国地方を巡演中ですが何とか無事に上演できればと...明日から鳥取、島根と続きますので心配です。

いやはや昨今の世界状況、なんだか第三次世界大戦前夜みたいな様相を呈しています。そんな時代に警鐘を鳴らすかのように、今年87歳になるゴスペルシンガー、メイヴィス・ステイプルズの最新アルバム「SAD AND BEAUTIFUL WORLD」を購入。彼女は11歳で父が率いるゴスペルグループに参加して76年になる大御所である。今も尚、偉ぶらず、驕らず、自然体で歌い続けている。日々を大切に過ごし、その天賦の才能は勿論のこと、人間としてありきたりな表現などはばかれるほどの圧倒的な存在感を放っている。世界から戦争をなくすには、まず自分自身が平穏で、いつも喜んでいなければと歌う「ウィ・ガット・トゥ・ハブ・ピース」。アルバムの最後を飾る「エブリバディ・ニーズ・ラブ」ではスライドギターが淡々と響く中、メイビスはシンプルに語りかけるように繰り返す。

「ときにわたしは沈んでしまう。ときにわたしは怒ってしまう。日々はあまりにも早く過ぎ去ってしまう。世界は悲しく、それでも、世界は美しい」

彼女の生きてきた体験から発する深く、静かな歌声が聴く人の心に染み渡る。この世界になんの期待を持てなくなっても、世界のほうからまだまだあなたに期待してますよと語りかけてくるようだ。

どんな苦難を強いられようと、世界の表現者はアートを武器に平和への希求への願いを諦めないことを立証するベストアルバムだ。

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寒空

2026/01/19
【第2132回】

理性的な変人たち第5回公演「口いっぱいの鳥たち」を観劇。このグループは東京芸術大学卒業生を中心に結成された劇団。これまで全て拝見しましたが、なかなか面白いことをやっているなと楽しみにしていました。今回の芝居はまれに見る難解な芝居。途中休憩を入れての2時間半、パイプ椅子に座っての観劇は後期高齢者にとってはなかなかハードですな。1986年に英国で書かれた原作戯曲そのものが難解、実験的且つ前衛的ときているもんだから役者も相当苦労したのではなかろうか...演出もそこを何とか身体表現を絡め、目の前の物語を前に進める努力をしたことは理解できるのだが、普通の能力ではとても追いつけないほどの内容。こうなると、この手の芝居の時間の過ごし方は己の想像力を駆使しながらあーでもない、こーでもないと妄想ゲームに走るしかない。一方で、真摯に演じている役者さんも理解して表現しているのだろうか?わからんけど取り敢えず身体を投げ出すことによって正解の道を模索しているのだろうか?そんなことを勝手に思い巡らしているときに、突如怒鳴り出す芝居をされると一気に冷めてしまい、非日常な芝居から現実の戻される瞬間に戸惑ってしまう。でも芝居なんて何でもありの世界ですから、リアリズム演劇糞くらえ!といった人にとっては楽しめる芝居に違いない。

帰りに会場近くの新井薬師梅照院にお参りしてきました。このお寺は「治眼薬師」として知られています。視界不良の政治家の皆さん方、選挙前に是非お参りして治療されることをお頼みいたします。一部の選挙民の皆さんも、今一度この国の行方を左右する一票ですから、しかとした眼力を期待してまっせ!

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新井山梅照院

2026/01/16
【第2131回】

いやいやなんですか!この国の政治屋さんの慌ただしさといったら冗談で済みませんことよ。物価高で苦しんでいる庶民の人たちのことをこれっぽちも考えていないことが良く分かりました。選挙費用600億、税金使わないで立候補する人たちが支払ってくださいなといいたい。私利私欲に塗れた政治屋さんに、今度こそは鉄槌を下さねばと思いますが、この国の人達がどれほど真剣に考えているのか?2月に選挙が実施されても、そんなに期待できないところがなんとも寂しい思いです。今こそ戦争を是とする輩は当然、怪しいお金を集めている政党、政治家ではなく政治を商売にしている2世議員などなど胡散臭い奴らに絶対投票しないこと。と言っても、過去幾度となく選挙しても平成24年以降は投票率が60%に達したことがありません。これはまさしく、もはや政治に期待していないという証拠。

誰に投票してもマシな政治をする輩がいないという絶望感がこの国を覆い尽くしています。

今のところ2月8日に衆議院選挙が実施される予定なんですが、この日に大阪知事、市長の選挙もやろうなんておかしな首長もいるんですから何考えているんですかね?権力にすり寄ったり、窺ったりする風見鶏みたいな政党は頭から信用できませんな。

昨日もスーパーに買い物に行ったら、割引シールを貼ってくれることを今か今かと待ちわびている人たちが沢山いましたね。政治屋のあんたら高級レストランで飯食ってる時間あったら街のスーパーに行って現状を目かっぽじって見らんかい!

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今日の空

2026/01/15
【第2130回】

日本橋「三越劇場」で「わが歌ブギウギ-笠置シヅ子物語」観劇。老舗の百貨店に劇場を持つなんてなかなか粋な計らいだと思います。1927年(昭和2年)に「三越ホール」としてオープンし、百貨店の中にある劇場としては世界的に珍しい存在です。ロココ調の華麗な装飾が特徴で、石膏彫刻や大理石の壁、ステンドグラスやステンシルで彩られた天井など、当時の美しい意匠が大切に守られています。これらの装飾は開場当時から変わらず、劇場全体に独特の一体感を生み出しています。そんな歴史的な劇場に足を運ぶだけでもワクワク感満載だと思いますが...過去には風間杜夫、下條アトムさんが出演した芝居を観に行った記憶があります。

今回は、トムにも出演していただいたキムラ緑子さんが笠置シズ子を演じるということで出かけた次第です。数年前、NHKの朝ドラでも話題になり戦前戦後に渡りエネルギッシュに「ブギの女王」として一世を風靡した彼女の姿を、なんとなく元気のない今の日本に活を入れたいという思いから舞台化したに違いありません。御年64歳になる緑子さんのパワーに圧倒されました。この日は3時間に及ぶ長丁場の舞台を2回こなすんですから、おいらも体力大丈夫かしら?と心配しちゃいました。そんな心配どこ吹く風、歌、演技ともあっぱれでございました。さすが実力派女優ですね!

劇場のフロアーには画廊、高級美術品などが展示され芝居を楽しんだ後にアートの世界を楽しんでくださいな...なんて配慮がなんとも憎いですな。

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早咲きの紅梅

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