2025/03/17
【第2010回】
再々演の「モンテンルパ」、昨日、無事東京公演を終えることが出来ました。ここのところ天気の変化が激しく、昨日も冷たい雨が降りしきる中、多くの方が両国シアターΧ(カイ)に来ていただき満席での千秋楽でした。この厳しい世界状況のなかで、戦争にまつわる話を演じる俳優としては、かなりのプレッシャーを感じるのではないか...演者の戦争そのものに対する見識、解釈などが役を通して見えてくるのも当然であり、どのスタンスで演じているのかが透けてくる。
今回はその点、出演者5人がその辺りの機微を素早くとらえなかなかいい芝居に仕上がっていたと思います。大和田獏、島田歌穂さんのベテラン俳優の誠意溢れる演技はしっかりと地に足が着いていたし、この芝居の幹なる部分に人間としての生きるべきすべてが注ぎ込まれている思いがしました。
真山章志、カゴシマジロー、辻井彰太さんの3人は、複数の役を演じ分けるという難役をそれぞれに工夫しながら演じていました。おいらも稽古場で気になっていた点は何度かアドバイスしたのですが、本番ではしっかりと修正されていました。これも、3人がこの芝居を今なぜ上演すべきかの真意を感じ取っていたからでしょう...正直言って、劇団であれば一人の役者が何役もやるなんてことはなかなか無いのだが、少人数でも成立させられる演劇の妙。勿論、制作側としても経費を抑えられる利点がある。この時代、全てにおいて利便性満載だからこそ、より少ないものでいかにクオリティの高いモノが創れるか?そこがモノ創りの面白いところでございます。
この芝居のラストで、渡辺はま子(島田歌穂)と、加賀尾秀忍(大和田獏)が交わす会話
はま子「二十一世紀には、この世界から戦争は無くなるでしょうか。」
加賀尾「...どうでしょう。」
この台詞は重い。
三寒四温