2025/03/19
【第2011回】
昨日は久しぶりに帝国ホテルに行ってきました。一般財団法人光文文化財団が主催する第28回鶴屋南北戯曲賞の授賞式がありました。トムでも今までに6本の作品を依頼した古川健さんが見事受賞。2002年に大学仲間と共に創った劇団チョコレートケーキの座付き作家であり、これまでにも読売演劇大賞、紀伊國屋演劇賞など現代演劇に新たな歴史を刻んできた注目の劇作家のひとりです。
彼の作品は一貫して、あの忌まわしい戦争に突入していったすべての日本人とはいったい何だったのか?数年前に注目された古典的名著「歴史とは何か」でE・H・カーは、歴史とは現在と過去の対話であると述べている。古川健が演劇を足場として試みていることは、対話の延長線上に、いまだ戦禍に塗れた世界を救うヒントがあるのではないかと...膨大な史実、資料を前にしながら身を削って机に向かう彼の姿が目に浮かぶ。
受賞の挨拶で「当たり前のことながら戯曲は一人では作り出せません。戯曲を演劇に立ち上げてくれるすべてのキャスト・スタッフを信じなければ、一文字だって書けるものではないのです。ですから、この度の受賞も、いつも創作を共にしてくれている、仲間全員での受賞であると考えています。」
そうなんです。芝居は総力戦ですが、なんといっても基本中の基本が戯曲です。おいらもこれまで一番重要視したのが台本です。この作品が或る水準以上に行けるかどうかは上がってきた台本でほぼ決まります。劇作家の弱体化は演劇そのものの存亡を意味します。
経済的にも決して恵まれない状況下で、命を削って日々言葉と格闘している劇作家の皆さんを応援していくのもプロデューサーの仕事なんです。
おめでとう!