2025/08/25
【第2076回】
この異常な暑さに耐えかねて、おいらは日傘を購入しました。これまではハットでなんとか凌いでいたのですが、いやはや命の危険さえ感じる地球になっちゃいました。いざ傘をさしてみると快適です。お歳を召した方には是非実行に移されてはと老婆心ながらご意見いたします。大の男が?なんて時代はもはや通用いたしません、予測不能な時代に突入しましたのでとにかく己を守ることに徹してくださいませ。
先週は「入国審査」鑑賞。これも予測不能な出来事を描いた映画。アレハンドロ・ロハス、フアン・セバスチャン・バスケスという二人が共同脚本・共同監督のスペイン映画。撮影14日間、制作費1000万弱、77分ワンシチュエーションという非常にコンパクトな作品だが、内縁関係の男女と入国審査官の息詰まるやりとりが最後までハラハラドキドキの連続。おいらもいろんな国に行った際、入国審査の現場に立ち会い様々な人種のやり取りを目にしましたが、この映画を観て改めてある種の恐さを感じた次第です。権力を笠にプライベートな事情まで詮索し、2人の信頼関係を引き裂いた入管のやり方は非人道的だ、という主張を読み取ることもできるし、人生の途上で政情不安なベネズエラ人に対し徹底的に追いつめる現トランプ政権の移民に対する嫌がらせともとれる取り調べ。観客の視点で言えば、話が進むにつれ各登場人物の見え方、信頼度のようなものが変わってゆくサスペンス的な流れが面白い。感傷的な音楽を流すこともなく、工事音、足音などのノイズが登場人物の心理と相まって効果抜群。この作品は演劇的な映画、審査官とカップルの会話が命、改めて台詞の大切さを感じさせてくれる作品でした。
サンゴジュ