2024/12/23
【第1979回】
先週の土曜日は、すみだパークシアター倉で劇団桟敷童子公演「荒野に咲け」を観劇。劇団を始めて25年、創立メンバー9人のうち現在も5人が残っている。今回の公演は25周年ということもあって外部から役者を呼ばず、16名の劇団員での総力戦。この劇団の特徴である伝承劇ではなく主宰者である東憲司さんが10年前以上から温めていた物語である。実際のモデルがあり、あまりにも辛く重すぎて何度も挫折しそうになったそうである。今回のストーリー同様、劇団桟敷童子の辿った道も悩み苦しみ、落ち込み、疲弊し打ちのめされる日々であったのだが、演劇をやれるという幸せな思いで継続できたそうだ。
その思いが見事に結実した今回の芝居。おいらが何度も慟哭し涙した過去の作品を思い起こさせるシーンが最後に圧倒的なスケールで展開された。劇団員の演劇愛が表現に衣装に照明、装置に内包し観る者の琴線を激しく揺さぶる。すべてが劇団員の手作り作業によって産み出されたというだけでただただ頭が下がる思いだ。
何度も書いているが、これこそが演劇の原点であり演劇でしかできないヒューマンワークではなかろうか...人力、職人芸、もはや時代の流れに置いてきぼりにされがちなのだが、人の血の温もりを直に感じてこその創りものだからこそのアートだと思う。
劇場を出ると、相変わらず少年の面影を残す東憲司さん。これからも30年を目指して走り続けるそうだ...こんな稀有なる劇団いつまでも応援しまっせ!
劇場近くの公園から