トムプロジェクト

2026/04/08
【第2165回】

NTTが発行していた紙の電話帳「タウンページ」の発行が3月末で終了となりました。

感慨深いものがありますね。トム・プロジェクト立ち上げに際し大活躍したのが「タウンページ」でした。池袋のミニシアターで1994年に立ち上げた、岩松了作・演出による片桐はいり一人芝居「ベンチャーズの夜」を全国展開しようということになり電話作戦を敢行。演劇をやりそうなところを探すには全国のタウンページが必要不可欠ということで、当時新宿に構えていた事務所の一番近いNTTに出かけ、日本全国都道府県の冊子を借りる交渉に成功、チャリンコで10往復して事務所に運んだ記憶が懐かしい。チャリンコの前かごに溢れんばかりの冊子を何とかふらつきながら運んできました。演劇団体、公立の会館、演劇サークル、放送局などなど徹底的に調べ上げ3人で電話をかけまくり、興味があるところに資料を送り続けました。よしゃ!やったるでの気持ちさえあれば苦にならないどころかメラメラと燃えてくるもんです。おいらは昔から、人と同じことしていても面白くないという性癖を持っているのと、昔読んだ米沢藩主・上杉鷹山の歌「なせばなるなさねば成らぬ何事も」を妙に気に入っていて、即行動に移せば吉が出ることも十分予測できました。

資料つくりも狭い事務所で男3人、封筒に入れるペーパーを折り曲げるのにビール瓶を使いながらの細かい手作業。作業終わった後、近くの町中華での餃子とビールの味も忘れることのない思い出です。

おいらの勘ピューターはズバリ的中、最初の芝居は全国200ステージ近く上演し、夢を吐き続ける基盤を作ることになりました。本当にありがとうございました、そしてお疲れさまでした「タウンページ」様。

2165.jpg

ひっそりと咲いてます

2026/04/06
【第2164回】

ウクライナ東部ドネツク州の港湾都市マリウポリにあった「ドラマ劇場」が2022年3月のロシア侵攻により破壊されて4年が経ちます。その跡地に昨年12月にロシア当局がそっくりな形の劇場を建てたというニュースが流れました。その知らせを聞いたドラマ劇場の劇団員たちは皆そろって恐怖を感じ「建てるべきは鎮魂碑、彼らは殺された人々の歴史を消え去ろうとしている」と怒りをあらわにした。

生き残った劇団員は、「ドネツク州立マリウポリ・アカデミー・ドラマ劇場」という名で、マリウポリから直線距離1150㌔離れたクライナ西部の街ウジホロドで活動している。

避難後2024年3月には、当時劇場内で避難生活をした5人の俳優の証言に基づいた戯曲「マリウポリドラマ」をキーウで上演。その後、英国、ドイツ、イタリアでも巡演。稽古中には、俳優たちがリハーサルで自分の極限の経験をそのまま演じることに耐えられず、泣き叫ぶシーンはカットせざるをえなかった。

同じ演劇人として、この困難な状況下の中でも芝居を通して戦争の不条理に対し屈することなく闘ってる姿に頭が下がる思いだ。ロシアと言えば文学、演劇、バレエ、絵画などなど芸術の一等国としての歴史を持つ国として一目置かれた国であったはずだ。独裁者を選んだ国のその後はこれまでの歴史が証明しているのに、そしてアメリカ然り...力のある者が他者から奪う世界になっていいのか、正しいことをしている人たちが報われる時代が一刻も早く来て欲しいものだが...微力ながら、芝居屋は演劇を通して矛盾を正していくしかない。

2164.jpg

井の頭線高井戸駅

2026/04/03
【第2163回】

奇才のマンガ家・つげ義春さんが3月3日に88歳で亡くなった。若い頃に貪るように読みまくった「ねじ式」「「紅い花」「ゲンセンカン主人」「李さん一家」などなど、おそらく日本初のシュルレアリズム的マンガであった。つげ作品が選ぶ場所は、どこも裏通りか場末といったような小さな町や村の外れである。そこには得体の知れない人物が必ず登場し世にも不思議な物語が展開される。そして日本の土俗的な深層に読者を引きずり込んでいく超現実的な絵のスタイルがこれまた強烈、読み終わった後数日間脳裏から離れることがない。

温泉場のシーンがしばしば登場するのだが、観光地とか名だたる温泉はまず登場しない。ひなびた温泉、あるいは鉱泉宿とか、廃れた温泉ばかりだ。おいらが若い頃に頻繁に通っていた北温泉も登場する。那須温泉の奥深くにある北温泉の開湯は古く170年前、中でも元禄奈良時代の宝亀年間(770年頃)に大天狗が発見したと伝わる「天狗温泉」は幽玄の世界。

薄暗い浴室はそれだけでも鄙びた雰囲気ではあるが、壁に掲げられた天狗の面が何かを語りかけてくる不思議な世界観を醸し出している。もっと言えば畏れすらを感じさせる。室内外に子宝祈願の絵馬が数多く奉納されているのを見ていると、まさしくつげ義春の世界に踏み入れた感覚に陥ってしまう。この湯は混浴で、いつだったかおいらがひとり桃源郷の思いに酔いしれた時、湯けむりのなか女性と思しき姿がこちらに向かってきて天狗の面の下にゆるりと湯の中に...ジロジロと見たわけではないが50前後艶っぽい容姿、思わず、つげ義春の世界に迷い込んだ瞬間でもあった。

2163.jpg

善福寺川緑地公園

2026/04/01
【第2162回】

折角サクラが咲いたのに昨日、今日と雨模様、でも何とか踏ん張り頑張っていますね。

そんななか米国、日本で野球が開幕しました。これから10月まで試合結果に一喜一憂しなければと思うとなんだかしんどい気もします。ドジャースの圧倒的な強さに比べ、我がライオンズ開幕から2連敗。今年も下位争いの仲間入りかなと思いきや2連勝、昨日の試合なんぞは新人の3選手が大活躍し少しは希望が見えたかな?それにしても平日、しかも雨の中埼玉所沢の球場には満員のファンで埋まっていました。ありがたいことですね...そんな環境の中でプレーできる選手はほんまに幸せ者です。

一方、海のかなたでは日本人選手の活躍が早速伝えられています。村上、岡本選手のホームランもビックリ!おいらはそんなに簡単に打てるとは思ってはいなかったんですが、今どきの若者のメンタルの強さに感心しきり。開き直りの精神と、我が道を行く姿勢がうまくかみ合い結果を出していると思います。ライオンズから渡った今井投手は苦い経験をしましたが次回は必ずリベンジしてくれるでしょう。それにしても、日本のプロ野球はなんだかアメリカに渡るための予行演習ですかね...メジャーとの契約金の額を知らされるたびに、皆双六のあがりはここだと思っている節がありますね。確かに、いつどうなるかわからない不安定な環境の中、稼ぐときに稼ぎたいという気持ちはわかります。

ところで神経衰弱のトランプ、いいかげんに戦争やめんかい!こんな男に振り回されているこの世界、ほんとにやばいです。

2162.jpg

満開

2026/03/30
【第2161回】

昨日、無事に風間杜夫ひとり芝居「カラオケマンさすらいヘルパー」千秋楽を迎えることが出来ました。連日満員の観客を前に風間杜夫の魅力全開のステージでした。公演中に速達でO氏より一通の葉書が会館に届きました。

 

大好きな牛山明さんにまた会えました。芝居であることを忘れる実在感。まさに風間杜夫という俳優の存在を借りた実在の人物として舞台の上の登場人物を見ています。観客は一様に風間ファンイコール牛山ファンなのです。虚構を超えた熱い人情の男です。シリーズ全体を通じてそのバイタリティーは証明されていますが、その人格わざと役者が自分に憑依させたのではないかと思えるくらい自然な人物として我々に迫ってきます。だから知らず知らず観客は声援の声を上げているのです。まるで大衆演劇に没頭している客のように。この舞台に流れる現実感のある熱気がこのシリーズのもっとも魅力のあるところです。待ってましたと心の中で快哉を叫んでいる自分が居ます。人は自分の一生を演じて生きていると言いますが、この登場人物ひとりの芝居こそ現実を凌ぐ空間であると今回の舞台を見ながら実感しました。牛山明はどんな人生をこれから生きていくのか、そしてその日々を垣間見ることができるならきっと観客は満足のひとときを過ごせるのです。畢生の演目として実は我々観客が観る者が手に入れる満足です。楽しい芝居の贈り物をありがとうございます。

 

おいらも又、牛山明の今後を見たい観客のひとりでございます。

2161.jpg

井の頭線高井戸駅そばの神田川

2026/03/27
【第2160回】

風間杜夫ひとり芝居「カラオケマンさすらいヘルパー」無事初日を迎え、昨日で2ステージを終えることが出来ました。初日、2日目といずれも完売、当日券をお求めになるお客様に断るのに一苦労。それぐらいの人気作品になったことに感無量でございます。1時間20分、息切らすことなく疾走する役者風間俳優の姿に惚れ惚れしてしまいます。歌って、踊って、落語して、最後は「生きてりゃいいさ」を絶唱して幕を閉じる。来月77歳になる人間がここまでやってくれると、恐れ入り谷の鬼子母神でございます。

そして際立つのが笑いの連鎖、過去にひとり芝居でここまで客席を笑いの渦に巻き込んで芝居があったであろうか?登場しない人物とのやりとのなかで、微妙、かつ繊細な間合いを要しながら、さもそこに相手役が存在するような設定を自ら創り出す風間杜夫の達者な芸。

後期高齢者になって、ますます巧妙になっているので目が離せません。

ここまで書いちゃいますと、なんだか手前味噌だとお思いでしょうが、嘘だと思ったら自分の目で確かめるしかありませんね。

東京公演は29日まで。あまりにも好評で今年の秋、11月5日(木)6日(金)再演を決定した次第です。この混迷の時期、あくまで日本が戦争に巻き込まれず、ひとまず平和であればの話ですが...それにしても神経衰弱という病に陥ってるトランプ困ったもんですな。

2160-1.jpg

2160-2.jpg

絶賛上演中

2026/03/25
【第2159回】

今日は花曇り。そして、風間杜夫ひとり芝居「カラオケマンさすらいヘルパー」の初日です。サクラが咲き始めた頃の公演は久しぶりではなかろうか...何だか気分も浮き浮きしちゃいますね。

先日、57年前の劇団青俳で知り合った友人達と久しぶりに逢いました。男性5人、女性3人、さすがに歳はとりましたが、それぞれに昔の面影をほんのりと残しながら皆意気軒昂でした。今だからこそ話せる秘密の恋愛ネタも興味津々に聞いていましたね。やはり、若い頃にアートに夢中になった人たちは歳を重ねながらも青春しているなと...貧しくとも、がむしゃらに己の夢に向かって邁進してきたすべてが血となり肉となったんでしょう。ふと今一度、あの日あの時に戻ってみたい気もしますが...今更、懐古趣味ではないですが昭和の活気あふれた面白さは別格だったのではなかろうか。

まさか21世紀には戦争は無くなるのではという淡い願いも空しく、この現状に絶望に近いものを感じています。でも、この愚かな人間もなぜか何度も危機を乗り越え再生に道を切り開いてきました...まだまだ諦めてはいけません。そのヒントはアートの世界にいくらでもあると思っているのですが...なにせ時の権力者があまりにも芸術の世界に疎い点が残念でなりません。つい先日も、この国のお偉い方々が、博物館、科学館などの維持費を大幅にカット。もちろん、残念ながら演劇に対する理解もかなりハードルが高いですね。

2159.jpg

あちこちで

2026/03/23
【第2158回】

先週の週末は、東京芸術劇場にて劇団印象「藤田嗣治~白い暗闇~」を観劇。日本でも人気のある藤田嗣治の人生のなかで、乳白色の肌という独自の技法を確立し成功したパリ時代(1913年~29年)と、日本に帰国後、トレードマークのおかっぱ頭を丸刈りにし、軍部の協力要請に従って『アッツ島玉砕』等の戦争画の創作をしていく太平洋戦争時代 (1938年~45年)を取り上げた評伝劇。今年で藤田嗣治生誕140周年にあたるそうだ。

思い起こせば、戦争中に軍部の意向に沿い協力した芸術家は多数にのぼる。当時の趨勢からみても、軍の意向に背けば即思想教育の名のもとに逮捕される状況に置いて逆らうことは出来なかったのでは...中には強固な思想、信念を貫き通し命を落とした人達も少なからずいたことも事実だ。戦後、戦争協力者として生き長らえるしかなかった芸術家の葛藤は壮絶な日々であったに違いない。多くの人達も絵画の前に立ち、その本人の過去の歩みを鑑みながら様々な思いを持つに違いない。はなから戦争協力者として、どんなに芸術性が高い作品でもあっても否定する人。あの過酷な戦火の中、命あっての作家であることに共感し、様々な思いを巡らせながら作品に対峙する人。

どんな作品であろうと表現されたものにはその人の人間性が間違いなく加味されている。作品を鑑賞してから人物像に迫る楽しみ方と、人物に興味を抱き作品に向かう人...アートにはいろんな楽しみ方があるのでございます。

2158.jpg

今年も咲きました

2026/03/18
【第2157回】

WBCはベネズエラがアメリカを撃破し、初のチャンピョンになりましたね。侍ジャパンが敗戦したときに、このチームは強いと思いました。選手の一人一人のモチベーションの高さが半端じゃありません。あの凶暴な男に国の大統領を拉致された悔しさも含めてアメリカに戦いを挑んだ気がしました。貧しい国が大国を打ち負かすことほど心地よいものはありません。

一時、同点ホームランを打ち本塁ベースを踏む寸前にユニフォームに縫い付けられた国旗を指さしながら、ベネズエラのベンチに向かって「ざまみろ...」と吠えていたアメリカの選手の表情に大国の驕りを感じたのはおいらだけかな...あれだけの一流選手を揃えても勝てない理由の一つを見せて頂いた気がしました。

今回のWBC期間中に起きたイラン攻撃、国の一大事に呑気に野球を楽しんでいて大丈夫?

アメリカ国民の心情も複雑ではないのかなと...そして今日もスタンドには多くの日本人が観戦していました。日本が決勝までいくに違いないと確信し最終戦までのチケットを買い占めていたに違いありません。球場の広告スペースのほとんどが、これまた日本企業。残念ながらこれも見込み違いでございました。

そして今回問題になっているのが、ネットフリックスでの独占放送。これは野球人口を減らす逆効果、今まで野球に関心がなかった人達に野球の面白さを知って貰うチャンスだったのにと残念に思います。一次予選から決勝までのブロックの分け方も透けて見えてしまいますね。決勝は米国と日本が戦う振り分け方も釈然としません。金がチカラと信じている人達に、もう一度何が大切なのかを考えてもらうWBCだったかも知れませんね。

2157.jpg

弥生の夕暮れ

2026/03/16
【第2156回】

先週の終末は2本の芝居を観劇。金曜日にはエコーリーディングミュージック「秘密の花園」100年以上に渡って読み継がれたフランシス・ホジソン・バーネット作の児童文学の傑作。自己肯定できなかった子供たちが自然と触れ合うことで変わっていき、そしてその思いは大人たちも変えていくストーリー。5人の俳優さんが朗読と歌唱を通してシンプルな背景で演じていました。お金をたっぷりかけて創るのではなく、出演者がそれぞれ真摯に役に向かいあいながら稽古を重ねた過程が感じられた心地よい舞台でした。

土曜日は、日比谷シアタークリエにてミュージカル「ブラッド・ブラザーズ」を観劇。この作品は1983年のイギリス初演時にローレンス・オリヴィエ賞の最優秀新作ミュージカル賞を受賞。その後、階級社会を背景に親と子、兄弟の絆、人間の運命という国境を越えた普遍的な作品として数多く上演されてきました。今回は日本では17年振りに日本版としての上演。ミュージカル作品を世に出した東宝が次代のミュージカルスターを育成するために企画されたのでは...会場にはお目当ての若い俳優さんを一目見ようと女性の客で溢れていました。それに応えるべく俳優の熱意は十分に伝わってきましたが、今一つ役をどう捉え、解釈し表現のレベルに高めて行っているのか...いつもおいらがミュージカルを見終わって感じることは、歌と踊りという技術に邁進するあまり、肝心の登場人物の繊細な奥意の綾まで手が回らないのではと思ってしまいます。確かにビジュアルも大切ですが、人物像を観客の想像力をかき立ててこその舞台だと思います。

終演後、久しぶりに日比谷の街を散策しましたが、この街も随分と変わりました。大きなビルが建ち並び、レストランやお店には沢山の人で大賑わい。これも平和あっての光景ですね。

2156.jpg

東京ミッドタウン日比谷前にて

2026/03/13
【第2155回】

今改めて、おいらが敬愛する作家、松下竜一さんの「暗闇の思想」を読み返しています。

月に一夜でも<暗闇の思想>に沈み込み、今の明るさの文化が虚妄ではないのかどうか、ひえびえとするまで思惟してみようではないか...と提言提案する松下さんの言葉は重い。15年前の原発が拡散していればこの国の形は大きな変貌を遂げているに違いない。虚栄の繁栄に浮かれてる大国が多くの原発を所持し動かし、核のゴミである核廃棄物を多量に産み出しながら豊かな生活を送っている。そしてその結果、放射能汚染の食品が出てくると、それらの食品を低開発国に押し付けている現状も伝えられている。

昨日も新宿にあるヨドバシカメラ、ヤマダ電機を覗いてみたのですが、あのテレビ売り場の電力の消費量は半端じゃありません。勿論、テレビの画面に映る映像を比較する意味は理解できるのだが...大都会の夜のネオンも美しさを超え常軌を逸している気がします。

しかも、この電力のほとんどが東北の原発から頂いているというのですから...そのほとんどが産業のない僻地のひとたちのためにと誘致した事実。今また世界の流れに同調して、この国も原発再稼働、そして新しい原発の建設に舵を切りました。なんのための原発?「エネルギー危機が来ますよ...」と恫喝しながらある一部の利権のために進める危うい動きに、ジタバタすることなく居直って拮抗するぐらいの腹のくくり方をしないといけませんことよ。

2155.jpg

弥生の青空

2026/03/11
【第2154回】

今日は、東日本大震災が発生してから15年になる日です。今なお避難している方々、未だ見つからない行方不明者、おいらもあの日のことは鮮明に記憶しています。15年の歳月が長いのか短いのか...あの忌まわしい原発の事故があったのに、この国の人達の意識の変化にただただ驚くばかりです。原発の再開に対するアンケートがそのことを如実に表しています。2018年に再開反対が54%、賛成31%だったのが、2026年には反対35%、賛成51%と全く逆転しています。そして男女差が大きいのも特徴的です。男性の賛成が64%、反対27%、女性では賛成39%、反対43%。年代別にみると、18歳から29歳で賛成が66%と全体で見た場合より高めになっています。

何だか先の選挙の傾向と類似している気がします。ほんまにこの国の人達、喉もと過ぎれば熱さを忘れるという言葉がお似合いですね。15年前のこの日に起こったことは第二の敗戦に等しい人災に等しい事故だったのに...今も街中では無駄な電力を消費している光景を目にします。あの日の事故を思い起こせばそんなことはあり得ないはずなのに。

一触即発の世界の現状において、原子力発電所がいかに恐ろしい存在であるかということを今一度ひとりひとりが考えて欲しい。それに変わるエネルーギー政策も政治の世界に期待できない現状を考えると尚難しい選択が迫られている気がします。

あの体験をした人達の胸の内を察するだけでも、そして地震大国である点を考えてみても原発はゼロにすべきだと思います。

2154.jpg

忘れてならない日

2026/03/09
【第2153回】

先週の週末の話題はやはりWBCの野球に尽きますかね。それにしても、大谷選手の存在感、実力、人気とも他を圧倒していますね。決して驕らず相手チームに対してのリスペクトも含めてどうしても見たくなっちゃうんだから困ったもんです。前の強化試合のノーヒットはこの本番のための予行演習であったのではないかと思わせる役者ぶり。こんな選手はこれから先にも現れないのではないかと思います。そして昨日逆転ホームランをかっ飛ばした吉田選手の職人技も相当のインパクトがありました。ここで打って欲しいというときに値千金のホームランを打つんですから、どんな精神状態をしているんだろうね。あのクールなマスクも魅力的ですね。我がライオンズの源田、隅田も良くやった!源田は昨年の大チョンボをだいぶ返すことができたかな?野球選手はグランドで結果を出してなんぼの世界です。それにしても昨日の天覧試合で、天皇陛下御一家が球場を後にする際に、ガムくちゃくちゃ、しかもひとり腕組みしている選手、令和の三冠王という触れ込みはいいとしても育ちを疑われますな。良く野球馬鹿なんて言われますが、野球人である前に一人の人間としての当たり前の礼儀も身についてないなんてことは失格。折角、今年から大リーグに行く夢が叶ったのに、こんなんじゃあまり見たくもありませんね...と、言ってもまだ26歳、人間誰しも失敗はあるのだから昨日のことを教訓として出直してくださいと言いたいですね。

世界ではあちらこちらで戦争が繰り広げられているというのに呑気に野球に夢中になってるのもどうかなとは思いますが、平和だからこその野球の祭典。野球を通じて平和の有難さをアピールして欲しいと思います。

2153.jpg

野に咲くツルニチソウ

2026/03/06
【第2152回】

今週から3月25日~29日まで上演される、風間杜夫ひとり芝居「カラオケマン さすらいヘルパー」の稽古が始まりました。風間さんが後期高齢者になって2本目の新作です。このシリーズを始めてから29年の歳月が流れました。最初に声をかけた時「ひとり芝居なんてものは芝居じゃありません、相手との掛け合いがあってこその芝居です」と頑なに断った芝居がこんなに永く続くとはおいらだって思ってもみませんでした。何ゆえにここまでやり続けたのか?それは新宿シアタートップスで演じた29年前の悔しさからです。直近の客を前にしての緊張感から、思うように表現できなかった無念の思いがすべてだったんですね。

役者としてかなりの実力を兼ね備えていた杜夫ちゃん、彼の目指すところはもっともっと先だったのです。来月には77歳になる風間杜夫、稽古場での立ち姿はとてもそんな年齢には見えません。稽古場の合間にはおもろいダジャレを飛ばすし、めんこい表情も見せてくれます。いろんなタイプの役者さんと沢山仕事してきましたが、やはり愛嬌のある人とは仕事がはかどりますね。気難しい役者さんだと稽古場の雰囲気もなんとなくぎくしゃくします。この稽古場の流れは芝居の出来にも直結しますので要注意。何事もそうですが周りの人に愛されてこその役者稼業です。そして、風間杜夫ひとり芝居の座組は基本的に初演から不動です。俳優、演出、美術、照明、音響、舞台監督、プロデューサー、全員の年齢を合わせるとなんと452歳。平均年齢75歳、そりゃ年をとるのも当たり前でございます。

2152.jpg

新宿南口の空

2026/03/04
【第2151回】

おいらにとっての第二の故郷でもあるスペインに旅したいと思いつつも、コロナ騒ぎが終わったらロシアのウクライナへの侵攻、そして今度は新たな中東戦争になるかもしれないトランプの蛮行。こんな状態のなか、異国の地でのんびりと過ごすなんてことは気が進まないのは自明の理。そんな時は、本を読みながら著者と一緒に旅する気分に浸るのが一番です。

高田晃太郎著「ロバのクサツネと旅する」を読了。ロバと一緒に旅する発想が愉快ではありませんか...元新聞記者だけあって文章が平易でありながら、実は微に入り細に入り旅先で出会った人たちとの交流、そして自然が残る田舎の風景を見事に捉えている。何せロバの食べるものが大地に生えている草であり、ホテルに泊まるなんてことは出来ないので、自然がそのまま残っているところにテントを張って泊まるしかない。時折、そんな光景に温かい視線をおくる地元の人たちとのやりとりにほっこりしてしまう。地元の食材をごちそうになったり、温泉に入れてもらったりと、ほんまもんの人間の交流の大切さを実感させてくれる。

今の世の中の、やれ経済、出世、思想の対立、慌ただしいSNSなどなどからも離れ、ただ道草を食うだけの相棒クサツネとともに、日本を歩いた著者の発想、行動こそが混迷極める世界を救う思想かもしれませんね。

本の中でいろんな表情を見せてくれるクサツネ君の写真も彩りを添えてくれます。

現在は北海道南部・八雲町でロバのクサツネと一緒に塩づくりに取り組み、この塩をロバに乗せて北海道から千葉まで行商の旅を満喫しています。いやいや、こんな人達が増えると戦争なんか起こりませんことよ。

2151.jpg

ロバのクサツネ君

2026/03/02
【第2150回】

よもやイランまで、しかも最高指導者ハメネイ師まで暗殺してしまうとは...トランプの「力による平和」が国際社会での歯止めがきかないどころか許される状況に唖然としています。北朝鮮も含め、アメリカを敵対視している国はより軍拡に走ることは目に見えています。

隣国に独裁政権が存在する日本でも、この事実を拠り所としてますます軍事予算は増大し、兵器産業がこの国の利益となるとして、殺傷能力のある武器輸出認め、今後、輸出拡大を目指す考えだとのこと。いよいよ日本でも武器商人が市民権を得る時代になりました。

こんな状況で、いよいよもって日本外交の舵取りが難しくなりました。アメリカべったりの日本も、このトランプの行動のあおりをくってしまう危険性は十分にあると思います。

世界第三次大戦の実現性を帯びつつある今、一人一人が平和のためになにをすれば良いのか真摯に向き合わなければえらいことになっちゃいますね。

以下の文はウクライナに暮らす少女が書いた手記です。

 

「平和」という言葉を聞くと、サイレンのない穏やかな空を思います。

想像するのは、子どもたちが落ち着いて学校に足を運び、外で遊んでいる様子です。

私にとって、平和とは、大好きな人たちがそばにいて、誰も心配しなくてもいいことです。

ウクライナに平和が訪れてほしいと、心から願っています。

「戦争」という言葉を聞くと、悲しい気持になります。厳しい時を過ごしている人びとのことを考えてしまいます。

最後に善が勝つと、私は信じています。

 

何度でも言います。地球にとっての癌細胞である生きものであるニンゲン、ほんまにあほですな。

2150.jpg

曇天に咲く河津桜

2026/02/27
【第2149回】

傘寿、80歳になりました。よくぞここまで生きてこられたなとおいらも驚いています。1945年8月15日の終戦を待たず、8月9日にソ連が満州に攻め込んできました。そのときおいらは母のお腹の中でびっくりしたのでは...その後、地獄のような逃避行の末、1946年の2月博多に引き揚げ誕生しました。今は亡き母の話によるロシア人による蛮行の数々のなかで、よくぞこの世に生を受けたことは奇跡だと思っています。

戦後の貧しい時代ではありましたが、博多での暮らしは西鉄ライオンズと映画があったからこそ頑張れました。少年時代は新聞配達、おきゅうと、納豆売り、中学時代には郵便配達が加わり、高校時代は土方の仕事もしました。苦労?いやいや楽しい日々でした。仕事の現場で人の生き様を見させて頂いたお陰で、その後の生きる智恵を授かったのでないかと思っています。底辺に生きる人達からは人間の価値は、お金でもなく地位でもなく、困っている人達にどれだけ優しく手助けしてあげられるかの大切さを学びました。

東京での長年の生活も、悩んでいる暇がないくらいの充実した日々でした。大学時代は学生運動のまっただ中、授業があまりなかった分、新宿で日毎繰り広げられる多種多様なカルチャーにどっぷり浸かっていました。その狂乱の現場はもう二度と体験できないくらいの心荒ぶる出来事の連続でした。そんな刺激を受けて芝居の世界に首を突っ込む羽目に陥りました。芝居をやっているのか、酒を飲んでいるのか、これもまた芝居中毒に嵌った集団ですから怒濤の日々でした。

そんな日本での生活から離れ、32歳の時にスペイン一人旅を決行しました。浅草で買った千円の浴衣と森進一、鬼太鼓座のカセット、ラジカセを持参しての大道芸の旅。この珍道中が面白く、その後世界のあちらこちらを放浪しました。

40歳の時、帰国し落ち着いたものの何かしなきゃたべていけませんがな?といろいろバイトで食いつないでいたのですが、結局のところ好きな芝居の世界に行き着いた次第です。

トム・プロジェクトがここまでやれたのも、おいらのハチャメチャ人生をなんとか生き延びれたのも、すべて出会った人達のお陰です。

これからも、「俺が俺がの我<が>を捨てて、お陰お陰の下<げ>で生きる」を忘れず、一応90歳という目標に向かって、のんびりと過ごすつもりですのでよろしくお願いします皆の衆。

2149.jpg

梅も咲き
年をかさねて
夢も咲く

2026/02/26
【第2148回】

国会の論戦が始まりました、といっても衆議院の議席のほとんどが与党という有様ではなんだか勝負は決まったような雰囲気。奈良のおばちゃんもそんな余裕から、選挙で勝ち抜いた仲間に3万円のプレゼント。前回もやっとこさ念願の首相になった鳥取のおじさん、喜びのあまり10万円をくばりヒンシュクをかったばかりなのに...ほんまにこの政党は反省なんか糞くらえ、お金の感覚がまったくもってマヒしていますね。そんなところに、まるで人気投票であるかのような選挙に、こんな結果を出してしまった選挙民の責任も重いですね。勿論、野党第一党の訳の分からん動きに嫌気がさしたのも理解できますがね。

それにしても物価の上がり方は天井知らず、おいらもたまにスーパーを覗きに行くんですが、皆さん少しでも安く買いたいのか店員さんが割引シールを貼ってくれるのを今か今かと待っている姿を見るたびに切実な思いに駆られます。半額シールなんかが貼られるとたちまち完売。その商品を手にした表情の何と晴れやかなことか、こちらまで嬉しくなってしまいます。

議員バッジつけて自慢げな皆さん、一度はそんな景色を政治に活かすためにも是非ツアーを組んで自分の目でしかと感じ取ってくださいな!

昨日今日と久しぶりの恵みの雨、春を待ちわびていた樹々も大喜び。まさしく三寒四温、それを繰り返しながら待望の春がやってきますね。

2148.jpg

何話してるのかな?

2026/02/24
【第2147回】

2008年に公開されてから17年ぶりに上映されたターセム監督「落下の王国」を鑑賞。構想26年、撮影4年、13の世界遺産、24か国のロケーション。まったくもって規模が違い過ぎる映画です。魔法のような美しさとめくるめく幻想の世界に迷い込んでしまう展開。
時は1915年。映画の撮影中、橋から落ちて大怪我を負い、自暴自棄になり病室のベッドに横たわるスタントマン。そこに現れたのが木から落ちて腕を骨折した入院中の5才の少女。動けないスタントマンは自分に代わって、自殺するための薬を薬剤室から盗んで来させようと、思いつきの冒険物語を少女に聞かせ始める。視覚的に絶妙なストーリーで、五感を楽しませてくれる映画ですね。アーティスティック・ディレクション、コスチューム、写真、メイク、編集...要するに、すべてが観客にいまだ感じたことがないような体験をさせる工夫が随所になされています。映画は単なる娯楽ではなく芸術であるべきだと主張が少々強すぎるきらいもあるかなとも思います。万華鏡のような美しさに圧倒されて人間ドラマが希薄になっている気もします。実際、そんなにお金をかけなくとも心の琴線に触れる作品は数多く見てきましたから...でも、ここまで徹底してやってくれると拍手を送りたくなりますね。終盤のサイレント映画にたいするオマージュ的なシーンは、ニューシネマパラダイスのラストシーンを彷彿とさせました。

己の夢想を映像美に託して、徹底的に貫く活動屋魂を映画館で感受できる幸せな一日でございました。

2147.jpg

落下の王国

2026/02/20
【第2146回】

青木理著「百年の挽歌 原発、戦争、美しい村」読了。著者はコメンテイターとしてTVで権力者に対し辛辣な発言も多く、最近はメディアに登場することも少なくなった。昨今、権力者に厳しい意見を発言すると、やれ左翼ジャーナリストと決めつける輩が増えてきたのだが、本来ジャーナリストたるものとしては当然のことである。なかには御用評論家として政界を徘徊している者も少なくないが、聞いていてもどかしさを感じる。

今回の青木さんの著作、10年をかけて東日本大震災の被災地である飯館村に住む家族を取材しての話である。震災によって避難を余儀なくされ102歳で自ら命を絶った古老の話から物語は展開します。この家族の一人は嘗ての大戦で硫黄島にて戦死しています。そして追い打ちをかけるかのような不幸が続きます。

この負の連鎖、いずれも国策を実行する人達による将来の設計図の貧しさが大きな要因であり、この国の未来を案じての出版だったと思います。登場する人々の淡々とした日常と、不用意に壊されてしまった日常のなかにある不条理が鮮明にルポルタージュされ、一気に読めるのも、これまで自分の目と足を駆使してきた著者の地道な足跡があってのこそだと思います。史実・データを検証し、時系列とあわせて何度も推敲しながら書き上げた今回の本、多くの人に読んでもらえると少しはこの国の未来も明るくなるのではないかしら。

2146.jpg

春の予感

2026/02/19
【第2145回】

昨日、埼玉県深谷市民文化ホールにて、深谷虹の演劇鑑賞会主催による「風を打つ」大千秋楽公演に行ってきました。1月15日から始まった中国地方での公演、激しい雪が降る中なんとか25ステージ、無事完走することが出来ました。とくに降雪が激しかった山陰地区での公演実施にいたる苦労は大変なものがありました。そんななか会場維持、集客に労を尽くして頂いた鑑賞会の皆様には唯々感謝。勿論、この状況で体調管理も含めて事故もなく公演を成立させてくれたキャスト、スタッフのみなさんにもお疲れ様でした。

今回の公演で、鑑賞会の何名かの方に「40年間、見続けたなかでもベスト1です...」なんて言葉を頂けるだけでも、この芝居を企画し長年上演した甲斐があると同時に、これからもこの世の中に必要とされる作品を創っていかなければと感じた次第です。

先の「モンテンルパ」も含めて、1月~2月での公演を終え、来月3月1日からは風間杜夫ひとり芝居カラオケマン「さすらいヘルパー」の稽古が始まります。芝居はいつの時代でもこの世を映し出し、観客に手応えを感じさせ、心の琴線を振るわせるものを創造する責任があると思います。もうこれでいいや...なんて諦めから芝居の現場が衰退していく経緯をなんども見てきました。

いや、いや、いくつになっても心休まる暇なんてございません。もう一度、気を引き締めてもう一踏ん張りといきましょうかね。

2145.jpg

大千秋楽

2026/02/17
【第2144回】

今の時代の映画女優、いや男優も含めて突出している俳優はエマ・ストーンではないだろうか...初めて見たのが2016年アメリカで公開されたミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」、女優志望の役を感情豊かに活き活きと演じ、この年のアカデミー賞主演女優賞を受賞。次に観た2023年に公開された「哀れなるものたち」で腰を抜かすほどの体当たり演技にはほんまに驚きました。しかも監督ヨルゴス・ランティモスとの共同企画ときたもんだからこの方の意識の高さに脱帽。そして今回の「ブゴニア」、再び監督とタッグを組んだ新作。本作のオリジナルは2003年の韓国映画「地球を守れ!」カルト的な作品を、かなりスマートにブラッシュアップした作品に仕上がっている。聞いたことがないタイトル「ブルゴニア」とは?古代ギリシャで雄牛の死骸からミツバチが自然発生するという信仰に基づく儀式から転じて、「死から新たな生命が生まれる」という不条理な変化のことだそうだ。冒頭と最後にミツバチが登場するのも象徴的。

物語はサスペンスタッチで進行していくのだが、エマ・ストーンの演技にくぎ付けされてしまう。まさしく身体を張ってという言葉を通り越し、命を懸けて立ち向かう姿に胸迫る思いだ。

この作品には環境破壊への警鐘もはらんでいる。事実、ここ数年地球温暖化の話が一向に改善されないし、自国第一主義の権力者による不条理な戦争...ラストの画面に映し出されるのは、もはや地球はこうなっても仕方が無ないと思わせる壮大な絶望で締められている。

2144.jpg

如月の曇天

2026/02/13
【第2143回】

先週、今週と2本の芝居を観劇。1本目は、宮原奨伍プロデュースつかこうへいを知る旅「熱海殺人事件」。新宿紀伊國屋ホールを借り切って5日間の公演。個人で興行するには大変な負担だったと思います。しかも宮原さん、もう一つの演し物「売春捜査官」にも出演しているのでこれまた大変。彼が尊敬してやまないつかこうへいの世界を表現者として勝負すると同時に、人間が生きることにフォーカスし続けた作家に対するオマージュを込めての企画だったと思います。その意気込み宮原さんの立ち姿で十分伝わってきました。速射砲のように語られるつか台詞を劇場に足を運んでくれた観客に、心の鍵を外し蓋をあけ感じて欲しい...つかこうへいが今だにあちらこちらで上演する所以が分かる気がします。

2本目は、糸あやつり人形一糸座による「人造人間の憂鬱」、作・演出は劇団桟敷童子の東憲司。今から50年前に、代々木にある小劇場で初めて見た「江戸糸あやつり人形結城座」の記憶は今でも鮮明に覚えています。この劇団は今年で旗揚げしてから390年になります。役者と人形が同じ空間で競演したり、人形遣いが人形を使う傍ら生身で役を演じたり、まさしく人間と人形が劇構造の中で格闘する様は観客の想像力を喚起するに十分なものがあります。

今回の一糸座さんは、結城座九代目孫三郎の孫、結城一糸によって旗揚げされた劇団です。

古典芸能と現代を疾走する劇団が融合し、新たな作品を創ろうとするエネルギーが舞台上で錯綜していました。繊細な糸を操り、人形に命を吹き込もうとする役者の一挙手一投足がなんともスリリングでもありました。

2143.jpg

1935年の新宿駅
(木村荘八による油彩画)

2026/02/12
【第2142回】

選挙、雪降る日に友人「高橋美智子を偲ぶ会」が市ヶ谷で開催されました。1986年に、当時はまだ食前酒程度の認知しかなかったシェリー専門のレストラン「しぇりークラブ」を銀座の一等地にオープンした関係でNPO法人シェリー・ソサエティ・ジャパンの主催でした。

ミーコとは今から45年前に演劇群「走狗」で出会いました。政治、文化を含めて混沌とした中、テントを担いで全国各地でアングラ芝居に没頭した日々。ミーコは当時アングラ演劇界の中ではヒロインとして絶大の人気がありました。小柄でチャーミングでありましたが、芝居の話になると一筋縄ではいかない論客で、なみいる男どもを圧倒的熱量で論破していた記憶があります。

そんなミーコが何を思ったか、おいらが好きなスペイン関係の店をやりだしたというので早速出かけてみると、なんとスペイン放浪中に寝酒として愛飲していた「フィノキンタ」がならんでいるではないか!ミーコとはまさしく以心伝心、ここでまた同志的親近感を感じた次第です。その後、この店も話題になり多くの知名人が来るようになり人気店として大繁盛。ミーコの勘も芝居同様なかなかのものでしたね。

それにしても「走狗」の仲間が次から次へとあちらの世界に逝っちゃいました。今頃、主宰者であった関口瑛、舞台美術の島次郎、昭和天皇を演じた田島恒、音楽担当の伊深宣と一緒にミーコの音頭で「サルー」(スペインでの乾杯)の掛け声でシェリーでも飲んでるかもしれませんね。

2142.jpg

2142-2.jpg

ミーコにサル―

2026/02/09
【第2141回】

何ですか?今回の選挙。そりゃそうだよね、これまで原発ゼロ、辺野古基地反対、安全保障問題など一貫していた主義主張を引っ込めて、安易としか言えない新党を作った政党が惨敗するに決まってますよね。この件に反対して出て行った人が一人というのも訳分かりません。政治家の命は政策ですから、選挙直前に自らの政治信条を捨てたことに対する選挙民の選択は厳しかった。それにしても、大勝ちしたおばさんしたたかですね。そして、あのきつい表情と、はっきりした物言いに旧態依然とした政治屋にへきへきしていた多くの若者たちが一票を投じた構図も理解できます。がしかし、熱狂ほど怖いモノはありません。手軽なSNSに依存し、その行き先になにが待ち受けているのか?そこは、もう一度その他の情報から冷静に分析し判断しないと、気が付いたら自分は戦場に居たなんてこともありうるってことです。この国を良くしたい!この一点に関しては皆同意見ですが、これまでの政治家を見れば、ほとんどの輩が国民のためではなく己の私利私欲のために活動しているといっても過言ではありません。なのに、又しても裏金議員の大量当選...おいらなんかは不思議でなりません、そんな人に投票する理由はなんなんでしょうかね?

いずれにしても現政権の一党独裁の体制が始まります。こちらとしては暴走しないように粘り強く監視し、過去の間違った歴史だけは繰り返さないようにと願うばかりです。

昨日、樹々に積もった雪がさらさらと朝の光を浴びて散っていく様(しづり雪)が鮮麗です。

そこで一句。

しづり雪 一喜一憂 時うごく

2141.jpg

昨日の雪景色

2026/02/06
【第2140回】

深海洋燈の「戦争で死ねなかったお父さんのために」を、すみだパークシアター倉にて観劇。この集団は劇団新宿梁山泊に所属していた人たちが立ち上げた劇団です。今回は「つかこうへい祭り」と銘打って「熱海殺人事件~売春捜査官~」との二本立。それにしても2010年に亡くなって16年経った今でも彼の作品は毎年どこかで必ず上演されているという人気である。今回の公演も、元の作品に時事的なネタを交えながらショー的要素もふんだんに盛り込みながらの熱演であった。在日二世でもあるつかさんは時代の切り取り方が独特であった。国家、人間に対しサディスティックとマゾヒスティックな部分を抉り出し、究極は愛へと昇華していく。その劇作法は、演じる役者にとって己の感情を最大限に活かせる魅力あるものであり、完全燃焼を好むものにとっては魅力ある戯曲ではないだろうか。

つかさんの台本の創り方はこれまた独特の方法であった。稽古場での役者の動き感性を見極めながら、つかさん自身が台詞を発し(口立て)役者はその台詞を瞬時に暗記して復唱し芝居を続けるスタイルで一本の芝居を創っていく。

当時、つかこうへい事務所の看板俳優であった風間杜夫も稽古場で「風間、ええ恰好するな!お前のずるいところ、ダメなところださんかい...」と何度もダメ出しを喰らったそうだ。

彼の遺書の原文が両国シアターΧに掲示されています。

「友人知人の皆様、つかこうへいでございます。思えば恥の多い人生でございました。先に逝くものは、後に残る人を煩わせてはならないと思っています。私には信仰する宗教もありませんし、戒名も墓も作ろうと思っておりません。通夜、葬儀、お別れの会等も一切遠慮させて頂きます。しばらくしたら、娘に日本と韓国の間、対馬海峡あたりで散骨してもらおうと思っています。今までの過分なる御厚意、本当にありがとうございます」

2140.jpg

すみだパークシアター倉からの眺め

2026/02/04
【第2139回】

久しぶりに寺山修司を読み返しています。寺山修司と言えば1970年代、演劇実験室「天井桟敷」を結成し、当時、紅テントで人気を博していた状況劇場と張り合っていましたね。おいらも市外劇も含め何本か観劇しましたがなんとも摩訶不思議でとんがった印象でした。見世物として、不条理劇として既成の価値観をあざ笑うかのように展開していた印象が強かった。1974年に脚本監督した映画「田園に死す」を観た時に、寺山さんの短歌に彼の原点をみる思いがしました。その後も精力的に活動していたのですが1983年に47歳という年齢で亡くなりました。先日もNHKの「日曜美術館」で懐かしい顔を拝見したのですが、青森訛りで誠実にインタビューする姿に、彼の朴訥な人間性を改めて思い知らされました。

 

かくれんぼの鬼とかれざるまま老いて誰をさがしにくる村祭り

見るために両瞼をふかく裂かむとす剃刀の刃に地平をうつし

濁流に捨て来し燃ゆる曼珠沙華あかきを何の生贄とせむ

亡き母の位牌の裏のわが指紋さみしくほぐれゆく夜ならむ

吸ひさしの煙草で北を指すときの北暗ければ望郷ならず

 

映画「田園に死す」のなかでも寺山さん自身が朗読しているのですが、表現を超えたより深い精神性に惹かれます。そんな思いで昨日、映画のサントラ盤を久しぶりに聴きました。

2139.jpg

田園に死すサントラ盤

2026/02/02
【第2138回】

先週の土曜日は、新宿シアタートップスにてトラッシュマスターズ第43回公演「わたしの町」を観劇。現代社会の闇に鋭くメスを入れ、徹底的に問題提起してきた中津留章仁の最新作である。現代演劇において今を描く作家がいなくなったときに演劇は衰退するかもしれない。勿論、演劇も娯楽の一部である以上、エンタメ性がないと飽きられてしまう。いつもながら恐れることなくこの劇団の真正面から現実に向き合っている姿勢に先ずは拍手を送りたい。

今回の芝居は、北海道のある過疎の町の話である。この手の問題は日本のあちこちで深刻なこととしていつも話題になる。産業は漁業、農業、林業という一次産業で、どれも後継者不足で若者は出ていくばかり。これも言ってみれば国策の無能から発したことであり、亡国為政者の責任がもっとも大きいのだが。地元高校の閉校が持ち上がり、子どもたちを巻き込んだまちづくりに向けて、大人たちの試行錯誤が始まる。休憩を10分挟んで、数年後、子供たちも大人になり男女間の恋愛事情も交えながら町おこしも少しづつ前進していく。どこにでもあるストーリーなのだが、笑いも交え2時間50分という長丁場を飽きさせなく引っ張っていく中津留の手腕は見事だ。

この国が抱えている難題はあまりにも多く、深刻すぎる。一週間後にはこの国の未来を決める選挙が迫っている。ほんまによーくアタマを巡らせて貴重な一票を入れてくんしゃい皆の衆。

2138.jpg

よか芝居です!

2026/01/30
【第2137回】

今日も寒い日ですが、乾いた空気の中で青空と雲が見事にマッチした空でした。こんな空を眺めていると、ふらっと旅に行きたくなりますね。そんな時に見つけた本が「世界100ヵ国の旅で、出会った人たちが教えてくれた、人生で大切なこと」。旅人KAD(かど)さんが記したエッセイです。ごく普通に建築士として仕事していた著者が、移住先を探して世界中を旅し、そこで出会った人々との対話から、人生で大切なことを学び、旅先での出会いと発見をSNSで発信し、昨年末に出版したばかり。

僕が好きなスペインの件にはこんなことが書かれていました。

 

スペインを旅してたとき、夜に地元のバルで飲んでたんです。そしたら、隣の陽気なスペイン人のおっちゃんと仕事の話で盛り上がって、文化の違いってやっぱ面白いなぁと。で、日本では「休日にちょっと仕事しちゃう」なんてこと割とあるじゃないですか。僕もつい癖で、休みの日にメール返したり資料つくったりしちゃうんですけど、ふと気になって、尋ねてみたんです。「ねえ、スペインでは休日に仕事することあるの?」そしたらおっちゃん、急に顔つき変わって、「それはな、犯罪や」って。え?いや、こっちは「あるあるエピソード」のつもりで聞いただけなのに、突然の重罪扱い。「仕事と休みはきっちり分ける。バケーション中にメール?それは家族への裏切りやで」と言われてしまいました。

その後、ホテルに帰って無意識にスマホで仕事のメール開いた瞬間「俺、いま密輸でもしてんのかな?」って罪悪感で震えたよね。

 

世界の場末で出会った庶民の人達から耳にした言葉が心地よく響いてくるのは、著者自身が心開いて旅していたからに違いない。

2137.jpg

今日の空

2026/01/28
【第2136回】

今日もどんよりと曇った寒い一日です。

昨年11月末にスーパーで購入したボラの卵巣がやっとカラスミになりました。それはそれは我が子を育てるような過程でした。まずは針で血抜きをしてから数回の塩漬けを繰り返し、それが終わったらお酒と焼酎に浸し数日間冷蔵庫で寝かし、頃合いをみてネット網の中に入れ天日干し。ベランダに干しているネットの中の我が子の成長が実に楽しゅうございます。色が変色していくさま、柔らかいものから次第に固くなっていく20日間はハラハラドキドキでもありました。なにせ初めての取り組みですから果たしておいらが口にしたことがあるあの絶妙な味が出せるのであろうか?何とも不安な日々でもありました。普段、ベランダ内になかなか踏み込んでこない鳥がネット網を見つめてるときなどは明らかにカラスミから発する匂いに惹かれてきているに違いないと確信しました。留守中にネットを食い破り持ち去るかもしれないとか、お日様の強弱で失敗に終わるのではないかとか...でも、徐々に固くなり本来のカラスミの色に近づくにつれ、何となく美味しい我が家のカラスミの誕生を予感した次第です。

そして、いよいよネットから取り出し包丁を入れ、最初の一切れを口にしたときの感激は何とも言えないものでした。何事もそうですが、手塩をかけて育てたものが一人前になった喜びは何ものにも代えがたい。よしゃ!来年はもっと数を増やして大量のカラスミ作りに励みたいと思った次第です。

2136.jpg

ネットで育つカラスミ

2026/01/26
【第2135回】

週明け雪の被害が各地で拡がっています。北海道千歳空港に7000人が足止めされ空港内で一夜を明かすなんてことも起きています。こちらも「風を打つ」山陰公演、雪のさなか昨日で無事終えることができました。現地の演劇鑑賞会に皆さんのお陰であり、キャスト、スタッフの努力の成果だと思っています。世界的な気候変動のせいでなかなか先が読めない状況になっています。それにしても、今回の突然の国会解散、大雪の中で苦心惨憺しながら候補者の掲示板を準備している様を見るにつけ、こんなもの本当に必要なのかしら?なんて思ってしまいます。選挙の経費に予備費855億円が閣議決定されたなんてニュースを聞くと、ほんまにこの国の政治に不信感が募ります。欧米の国での賃金が30年で倍になったのに対し日本は低賃金の国に落ちぶれてしまいました。腐れ切った自民党、原発、沖縄辺野古に対し頑なに反対していた立憲が中道改連合なるものに寄り集まった途端にぶれぶれになり、あとの政党も権力の様子を窺う風見鶏状態。れいわ新撰組も頑張っていた太郎さんが病に伏し、社民党、共産党もぶれてはいないのだが刻々と変化する国際情勢に対してどうなのか?なんて状態でございます。

支持政党無しのおいらとしては一体全体、どの政党に、そして誰が良いのやら悩ましいところです。只一つ心配なのが、若い人たちの投票率が上がったのは良しとしても、投票の先の根拠が評判悪いSNSに依存している点です。新聞、本を読むなり、若者同士で激論したりもっともっと視野を拡げて欲しいもんでございます。

2135.jpg

睦月終盤の夕暮れ

2026/01/23
【第2134回】

昨日は埼玉県上尾市文化センターで上演した「モンテンルパ」を観に行ってきました。寒い日に関わらず多くの観客で座席は埋まっていました。この芝居も今回で4回目となります。第二次世界大戦で、日本が加害者でもあり被害者でもあることを色濃くあらわした作品です。加害者の視点は事実であり消し去ることは出来ません。ロシアがウクライナに侵攻している以上に、日本とは全く歴史的にも領土と言えないアジア諸国を侵略し残虐な行為を行ったことの反省なくしては真の平和を唱えることできないと思っています。

渡辺はま子を演じる島田歌穂さんの最後の台詞が胸に突き刺さります。20世紀大晦日、横浜の港で、明日から21世紀が始まる前日に「21世紀に戦争は無くなるでしょうかね...」

その願いも空しく、現実はおそろしい様相を呈しています。

だからこそ、この芝居を上演する意義があるのでは...この国もなんだか戦前の序章を感じさせるような気がしてなりません。こんな時に、この芝居に登場する大和田獏さん演じる加賀尾秀忍みたいな人の出現が待たれるところです。僧侶でありながらフィリピンにある日本人捕虜が多数収容されてる刑務所に赴き、フィリピン大統領、マッカーサー、ローマ法王などと交渉し戦犯の日本への帰国を実現させた外交手腕。ましてや資源も乏しい日本、外交力こそが世界に存在感を示し得る最良の道だと思います。

来月の選挙、そんなことを可能にしてくれる人を選びましょうね皆の衆。

2134.jpg

「モンテンルパ」カーテンコール

2026/01/21
【第2133回】

今年一番の寒波が日本列島を襲来。現在「風を打つ」中国地方を巡演中ですが何とか無事に上演できればと...明日から鳥取、島根と続きますので心配です。

いやはや昨今の世界状況、なんだか第三次世界大戦前夜みたいな様相を呈しています。そんな時代に警鐘を鳴らすかのように、今年87歳になるゴスペルシンガー、メイヴィス・ステイプルズの最新アルバム「SAD AND BEAUTIFUL WORLD」を購入。彼女は11歳で父が率いるゴスペルグループに参加して76年になる大御所である。今も尚、偉ぶらず、驕らず、自然体で歌い続けている。日々を大切に過ごし、その天賦の才能は勿論のこと、人間としてありきたりな表現などはばかれるほどの圧倒的な存在感を放っている。世界から戦争をなくすには、まず自分自身が平穏で、いつも喜んでいなければと歌う「ウィ・ガット・トゥ・ハブ・ピース」。アルバムの最後を飾る「エブリバディ・ニーズ・ラブ」ではスライドギターが淡々と響く中、メイビスはシンプルに語りかけるように繰り返す。

「ときにわたしは沈んでしまう。ときにわたしは怒ってしまう。日々はあまりにも早く過ぎ去ってしまう。世界は悲しく、それでも、世界は美しい」

彼女の生きてきた体験から発する深く、静かな歌声が聴く人の心に染み渡る。この世界になんの期待を持てなくなっても、世界のほうからまだまだあなたに期待してますよと語りかけてくるようだ。

どんな苦難を強いられようと、世界の表現者はアートを武器に平和への希求への願いを諦めないことを立証するベストアルバムだ。

2133.jpg

寒空

2026/01/19
【第2132回】

理性的な変人たち第5回公演「口いっぱいの鳥たち」を観劇。このグループは東京芸術大学卒業生を中心に結成された劇団。これまで全て拝見しましたが、なかなか面白いことをやっているなと楽しみにしていました。今回の芝居はまれに見る難解な芝居。途中休憩を入れての2時間半、パイプ椅子に座っての観劇は後期高齢者にとってはなかなかハードですな。1986年に英国で書かれた原作戯曲そのものが難解、実験的且つ前衛的ときているもんだから役者も相当苦労したのではなかろうか...演出もそこを何とか身体表現を絡め、目の前の物語を前に進める努力をしたことは理解できるのだが、普通の能力ではとても追いつけないほどの内容。こうなると、この手の芝居の時間の過ごし方は己の想像力を駆使しながらあーでもない、こーでもないと妄想ゲームに走るしかない。一方で、真摯に演じている役者さんも理解して表現しているのだろうか?わからんけど取り敢えず身体を投げ出すことによって正解の道を模索しているのだろうか?そんなことを勝手に思い巡らしているときに、突如怒鳴り出す芝居をされると一気に冷めてしまい、非日常な芝居から現実の戻される瞬間に戸惑ってしまう。でも芝居なんて何でもありの世界ですから、リアリズム演劇糞くらえ!といった人にとっては楽しめる芝居に違いない。

帰りに会場近くの新井薬師梅照院にお参りしてきました。このお寺は「治眼薬師」として知られています。視界不良の政治家の皆さん方、選挙前に是非お参りして治療されることをお頼みいたします。一部の選挙民の皆さんも、今一度この国の行方を左右する一票ですから、しかとした眼力を期待してまっせ!

2132.jpg

新井山梅照院

2026/01/16
【第2131回】

いやいやなんですか!この国の政治屋さんの慌ただしさといったら冗談で済みませんことよ。物価高で苦しんでいる庶民の人たちのことをこれっぽちも考えていないことが良く分かりました。選挙費用600億、税金使わないで立候補する人たちが支払ってくださいなといいたい。私利私欲に塗れた政治屋さんに、今度こそは鉄槌を下さねばと思いますが、この国の人達がどれほど真剣に考えているのか?2月に選挙が実施されても、そんなに期待できないところがなんとも寂しい思いです。今こそ戦争を是とする輩は当然、怪しいお金を集めている政党、政治家ではなく政治を商売にしている2世議員などなど胡散臭い奴らに絶対投票しないこと。と言っても、過去幾度となく選挙しても平成24年以降は投票率が60%に達したことがありません。これはまさしく、もはや政治に期待していないという証拠。

誰に投票してもマシな政治をする輩がいないという絶望感がこの国を覆い尽くしています。

今のところ2月8日に衆議院選挙が実施される予定なんですが、この日に大阪知事、市長の選挙もやろうなんておかしな首長もいるんですから何考えているんですかね?権力にすり寄ったり、窺ったりする風見鶏みたいな政党は頭から信用できませんな。

昨日もスーパーに買い物に行ったら、割引シールを貼ってくれることを今か今かと待ちわびている人たちが沢山いましたね。政治屋のあんたら高級レストランで飯食ってる時間あったら街のスーパーに行って現状を目かっぽじって見らんかい!

2131.jpg

今日の空

2026/01/15
【第2130回】

日本橋「三越劇場」で「わが歌ブギウギ-笠置シヅ子物語」観劇。老舗の百貨店に劇場を持つなんてなかなか粋な計らいだと思います。1927年(昭和2年)に「三越ホール」としてオープンし、百貨店の中にある劇場としては世界的に珍しい存在です。ロココ調の華麗な装飾が特徴で、石膏彫刻や大理石の壁、ステンドグラスやステンシルで彩られた天井など、当時の美しい意匠が大切に守られています。これらの装飾は開場当時から変わらず、劇場全体に独特の一体感を生み出しています。そんな歴史的な劇場に足を運ぶだけでもワクワク感満載だと思いますが...過去には風間杜夫、下條アトムさんが出演した芝居を観に行った記憶があります。

今回は、トムにも出演していただいたキムラ緑子さんが笠置シズ子を演じるということで出かけた次第です。数年前、NHKの朝ドラでも話題になり戦前戦後に渡りエネルギッシュに「ブギの女王」として一世を風靡した彼女の姿を、なんとなく元気のない今の日本に活を入れたいという思いから舞台化したに違いありません。御年64歳になる緑子さんのパワーに圧倒されました。この日は3時間に及ぶ長丁場の舞台を2回こなすんですから、おいらも体力大丈夫かしら?と心配しちゃいました。そんな心配どこ吹く風、歌、演技ともあっぱれでございました。さすが実力派女優ですね!

劇場のフロアーには画廊、高級美術品などが展示され芝居を楽しんだ後にアートの世界を楽しんでくださいな...なんて配慮がなんとも憎いですな。

2130.jpg

早咲きの紅梅

2026/01/13
【第2129回】

先週金曜日は埼玉県草加市に行ってきました。草加と言えばやはりせんべいが頭に浮かびますね。草加では、良質な米、水、そして身近にあった良質な醤油が揃っていたため、醤油味の焼きせんべいが人気を博し、日光街道の名物として定着していったそうです。大学時代に草加出身の友達に貰った時の、炭で手焼きした香ばしい味が記憶にあります。

そんな記憶を想い出しながら、東武伊勢崎線の獨協大学前駅で下車し草加市文化会館に向かいました。「風を打つ」の初日(公開最終リハーサル)です。会場には600人ほどのお客様が集まっていました。平日昼間の公演なのにこんなたくさんの人達に来て頂き本当に感謝しかありません。会館の方の話によると、演劇の公演は本当に久しぶりだとのこと...これまで30年間、全国津々浦々いろんなところで芝居をやってきましたが、やはり生で演劇を鑑賞するということは小さな市町村ではなかなか機会がなく、どの会館も集客に苦戦してることをよく耳にします。音楽と違って芝居は台詞が命です、その吟味された言葉を集中しながら聴き取り想像力を働かせる行為自体がなかなか面倒なことがその一因ではないかと思います...でも、良質な芝居にはまり、その味を知ると演劇の面白さが日常に思わぬ効果を発揮するのも事実です。何といっても総合芸術の集大成なんですから...

この日の芝居も上々の出来で、会館を後にするお客様の表情も満足げでした。これから2月18日の千秋楽までキャスト、スタッフ何事もなく無事に公演を終えることを祈るのみです。

2129.jpg

カーテンコール

2026/01/09
【第2128回】

新しい年になって日々寒さが本格的なってきました。しかしながらウクライナがロシアの激しい攻撃により、南東部2州で電力供給がほぼ完全に停止したというニュースを聞くにつけ寒さに震えているウクライナの庶民のことを思うとなんのこれしきりと思ってしまいます。今年も新年早々、理不尽極まりないことが世界のあちこちで立て続けに発生しておりいつもながら人間の愚かさばかりが幅をきかせウンザリしています。

7日の日は七草がゆを食べました。セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ、このリズムカルな韻律を一気に連呼するだけで春の匂いを感じる。

「つゝましく箸置く七草粥の朝」この句からもいかにも新しい年の静謐な情景が目に浮かびます。この国の持つ嗜み、文化、本当に美しいものがたくさんあります。敗戦後、西欧文化が進出し、それに拍車をかけるように世界を覆いつくしたデジタル化の波、日本古来の繊細な美意識や自然を尊ぶ心が希薄になっている昨今、おいらは何とか昭和の時代を経験したことに感謝しています。何も想い出に耽り、過去に対する郷愁からの思いで語っているのではございません。若い頃、世界を放浪した体験からも日本文化の美意識を再認識した次第です。そんな国が、もしや他国の属国になってしまうかもしれないなんて事態が正夢になるなんてことが...現世は一寸先が闇でございます。

2128.jpg

夕暮れ時

2026/01/07
【第2127回】

今年の一発目の鑑賞はフラメンコ。高円寺にあるタブラオ・エスペランサに5日行ってきました。本場スペインに次いでフラメンコ人口が世界で2番目という日本。成程、青森のねぶた、徳島の阿波踊りに通じるものがありますね。大地にたたきつけるサパテオ(足を踏み鳴らすこと)、天空に向かって感情をより豊かに伝えるための手の動き。日本古来の土着的なお祭りとフラメンコが赤い糸で繋がっている感じがします。この日も、5人の踊り手とスペイン人の歌とギターで満員の会場は盛り上がっていました。今年77歳になるグラシアス小林さんも齢を感じさせないパワーに円熟味を加味した舞で存在感を魅せていました。

昨日は1月9日からスタートする「風を打つ」の最終稽古。今回は演劇鑑賞会、中国ブロック、関越ブロックでの23ステージ。2019年の初演からはや7年、こうやって一つの公演が長く上演されることこそ演劇に関わって良かったと実感する喜びと感謝そのものです。作品に命があるということを実証してくれています。昨日の最終稽古でも役者さんが楽しく活き活きと演じる姿を見るたびに、この芝居に登場する人物に慈愛が芽生え、より厚みのある像にしようとする意志を感じました。この芝居は水俣病という重いテーマだけに、どう展開していくかがポイントになると思っていました。昨日の稽古を見る限り、今回登場する家族が水俣病という病をバネにして、人として家族の一員としてよりポジティブに移行する様に人間が本来持っている命の輝きを痛切に思い知らされた次第です。

鑑賞会の皆様も、新しい年に相応しい満足して頂ける作品に仕上がっていますので楽しみにしていてくださいね。

2127.jpg

新春のスカイツリー

2026/01/05
【第2126回】

明けましておめでとうございます。

トムも今日が仕事始めです。正月休みは近場の温泉に浸かったり、高校、大学のラグビーをテレビ観戦したりと、のんびりゆっくりと過ごしていました。

今年こそは、世界が平和で心豊かでありますようにと願いも空しくトランプがやってしまいました。「力による平和」なんて言葉をいとも簡単に述べる彼の感性は弱肉強食を掲げる帝国主義者の貌そのものです。こんな人がノーベル平和賞を欲しがっていることもちゃんちゃらおかしくて笑い話にもなりません。この一件において彼がロシアのウクライナ侵略、台湾有事に関することに異を唱えることに正当性を持てなくなったことも事実です。

独裁者が世界を支配し、己の欲望に赴くままに進行すれば間違いなく第三次世界大戦に歩を進めることが現実になるに違いありません。

さて、この期に及んで日本はどうすれば良いのか?難しい判断が迫られていると思います。トランプと一体化すれば危険な未来が見えているし、自国の軍隊を強化しても所詮、中国、ロシア、北朝鮮には足元にも及ばないだろうし...とすれば、唯一の被爆国であることを世界にアピールし平和外交に全力投球する以外にないと思います。

今年もひとりひとりが、いま何を思考しどんな行動をするのか真摯な日々を送らねば取り返しのつかない結末が待っている...

2126.jpg

初詣・大宮八幡宮