トムプロジェクト

2026/02/20
【第2146回】

青木理著「百年の挽歌 原発、戦争、美しい村」読了。著者はコメンテイターとしてTVで権力者に対し辛辣な発言も多く、最近はメディアに登場することも少なくなった。昨今、権力者に厳しい意見を発言すると、やれ左翼ジャーナリストと決めつける輩が増えてきたのだが、本来ジャーナリストたるものとしては当然のことである。なかには御用評論家として政界を徘徊している者も少なくないが、聞いていてもどかしさを感じる。

今回の青木さんの著作、10年をかけて東日本大震災の被災地である飯館村に住む家族を取材しての話である。震災によって避難を余儀なくされ102歳で自ら命を絶った古老の話から物語は展開します。この家族の一人は嘗ての大戦で硫黄島にて戦死しています。そして追い打ちをかけるかのような不幸が続きます。

この負の連鎖、いずれも国策を実行する人達による将来の設計図の貧しさが大きな要因であり、この国の未来を案じての出版だったと思います。登場する人々の淡々とした日常と、不用意に壊されてしまった日常のなかにある不条理が鮮明にルポルタージュされ、一気に読めるのも、これまで自分の目と足を駆使してきた著者の地道な足跡があってのこそだと思います。史実・データを検証し、時系列とあわせて何度も推敲しながら書き上げた今回の本、多くの人に読んでもらえると少しはこの国の未来も明るくなるのではないかしら。

2146.jpg

春の予感

2026/02/19
【第2145回】

昨日、埼玉県深谷市民文化ホールにて、深谷虹の演劇鑑賞会主催による「風を打つ」大千秋楽公演に行ってきました。1月15日から始まった中国地方での公演、激しい雪が降る中なんとか25ステージ、無事完走することが出来ました。とくに降雪が激しかった山陰地区での公演実施にいたる苦労は大変なものがありました。そんななか会場維持、集客に労を尽くして頂いた鑑賞会の皆様には唯々感謝。勿論、この状況で体調管理も含めて事故もなく公演を成立させてくれたキャスト、スタッフのみなさんにもお疲れ様でした。

今回の公演で、鑑賞会の何名かの方に「40年間、見続けたなかでもベスト1です...」なんて言葉を頂けるだけでも、この芝居を企画し長年上演した甲斐があると同時に、これからもこの世の中に必要とされる作品を創っていかなければと感じた次第です。

先の「モンテンルパ」も含めて、1月~2月での公演を終え、来月3月1日からは風間杜夫ひとり芝居カラオケマン「さすらいヘルパー」の稽古が始まります。芝居はいつの時代でもこの世を映し出し、観客に手応えを感じさせ、心の琴線を振るわせるものを創造する責任があると思います。もうこれでいいや...なんて諦めから芝居の現場が衰退していく経緯をなんども見てきました。

いや、いや、いくつになっても心休まる暇なんてございません。もう一度、気を引き締めてもう一踏ん張りといきましょうかね。

2145.jpg

大千秋楽

2026/02/17
【第2144回】

今の時代の映画女優、いや男優も含めて突出している俳優はエマ・ストーンではないだろうか...初めて見たのが2016年アメリカで公開されたミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」、女優志望の役を感情豊かに活き活きと演じ、この年のアカデミー賞主演女優賞を受賞。次に観た2023年に公開された「哀れなるものたち」で腰を抜かすほどの体当たり演技にはほんまに驚きました。しかも監督ヨルゴス・ランティモスとの共同企画ときたもんだからこの方の意識の高さに脱帽。そして今回の「ブゴニア」、再び監督とタッグを組んだ新作。本作のオリジナルは2003年の韓国映画「地球を守れ!」カルト的な作品を、かなりスマートにブラッシュアップした作品に仕上がっている。聞いたことがないタイトル「ブルゴニア」とは?古代ギリシャで雄牛の死骸からミツバチが自然発生するという信仰に基づく儀式から転じて、「死から新たな生命が生まれる」という不条理な変化のことだそうだ。冒頭と最後にミツバチが登場するのも象徴的。

物語はサスペンスタッチで進行していくのだが、エマ・ストーンの演技にくぎ付けされてしまう。まさしく身体を張ってという言葉を通り越し、命を懸けて立ち向かう姿に胸迫る思いだ。

この作品には環境破壊への警鐘もはらんでいる。事実、ここ数年地球温暖化の話が一向に改善されないし、自国第一主義の権力者による不条理な戦争...ラストの画面に映し出されるのは、もはや地球はこうなっても仕方が無ないと思わせる壮大な絶望で締められている。

2144.jpg

如月の曇天

2026/02/13
【第2143回】

先週、今週と2本の芝居を観劇。1本目は、宮原奨伍プロデュースつかこうへいを知る旅「熱海殺人事件」。新宿紀伊國屋ホールを借り切って5日間の公演。個人で興行するには大変な負担だったと思います。しかも宮原さん、もう一つの演し物「売春捜査官」にも出演しているのでこれまた大変。彼が尊敬してやまないつかこうへいの世界を表現者として勝負すると同時に、人間が生きることにフォーカスし続けた作家に対するオマージュを込めての企画だったと思います。その意気込み宮原さんの立ち姿で十分伝わってきました。速射砲のように語られるつか台詞を劇場に足を運んでくれた観客に、心の鍵を外し蓋をあけ感じて欲しい...つかこうへいが今だにあちらこちらで上演する所以が分かる気がします。

2本目は、糸あやつり人形一糸座による「人造人間の憂鬱」、作・演出は劇団桟敷童子の東憲司。今から50年前に、代々木にある小劇場で初めて見た「江戸糸あやつり人形結城座」の記憶は今でも鮮明に覚えています。この劇団は今年で旗揚げしてから390年になります。役者と人形が同じ空間で競演したり、人形遣いが人形を使う傍ら生身で役を演じたり、まさしく人間と人形が劇構造の中で格闘する様は観客の想像力を喚起するに十分なものがあります。

今回の一糸座さんは、結城座九代目孫三郎の孫、結城一糸によって旗揚げされた劇団です。

古典芸能と現代を疾走する劇団が融合し、新たな作品を創ろうとするエネルギーが舞台上で錯綜していました。繊細な糸を操り、人形に命を吹き込もうとする役者の一挙手一投足がなんともスリリングでもありました。

2143.jpg

1935年の新宿駅
(木村荘八による油彩画)

2026/02/12
【第2142回】

選挙、雪降る日に友人「高橋美智子を偲ぶ会」が市ヶ谷で開催されました。1986年に、当時はまだ食前酒程度の認知しかなかったシェリー専門のレストラン「しぇりークラブ」を銀座の一等地にオープンした関係でNPO法人シェリー・ソサエティ・ジャパンの主催でした。

ミーコとは今から45年前に演劇群「走狗」で出会いました。政治、文化を含めて混沌とした中、テントを担いで全国各地でアングラ芝居に没頭した日々。ミーコは当時アングラ演劇界の中ではヒロインとして絶大の人気がありました。小柄でチャーミングでありましたが、芝居の話になると一筋縄ではいかない論客で、なみいる男どもを圧倒的熱量で論破していた記憶があります。

そんなミーコが何を思ったか、おいらが好きなスペイン関係の店をやりだしたというので早速出かけてみると、なんとスペイン放浪中に寝酒として愛飲していた「フィノキンタ」がならんでいるではないか!ミーコとはまさしく以心伝心、ここでまた同志的親近感を感じた次第です。その後、この店も話題になり多くの知名人が来るようになり人気店として大繁盛。ミーコの勘も芝居同様なかなかのものでしたね。

それにしても「走狗」の仲間が次から次へとあちらの世界に逝っちゃいました。今頃、主宰者であった関口瑛、舞台美術の島次郎、昭和天皇を演じた田島恒、音楽担当の伊深宣と一緒にミーコの音頭で「サルー」(スペインでの乾杯)の掛け声でシェリーでも飲んでるかもしれませんね。

2142.jpg

2142-2.jpg

ミーコにサル―

2026/02/09
【第2141回】

何ですか?今回の選挙。そりゃそうだよね、これまで原発ゼロ、辺野古基地反対、安全保障問題など一貫していた主義主張を引っ込めて、安易としか言えない新党を作った政党が惨敗するに決まってますよね。この件に反対して出て行った人が一人というのも訳分かりません。政治家の命は政策ですから、選挙直前に自らの政治信条を捨てたことに対する選挙民の選択は厳しかった。それにしても、大勝ちしたおばさんしたたかですね。そして、あのきつい表情と、はっきりした物言いに旧態依然とした政治屋にへきへきしていた多くの若者たちが一票を投じた構図も理解できます。がしかし、熱狂ほど怖いモノはありません。手軽なSNSに依存し、その行き先になにが待ち受けているのか?そこは、もう一度その他の情報から冷静に分析し判断しないと、気が付いたら自分は戦場に居たなんてこともありうるってことです。この国を良くしたい!この一点に関しては皆同意見ですが、これまでの政治家を見れば、ほとんどの輩が国民のためではなく己の私利私欲のために活動しているといっても過言ではありません。なのに、又しても裏金議員の大量当選...おいらなんかは不思議でなりません、そんな人に投票する理由はなんなんでしょうかね?

いずれにしても現政権の一党独裁の体制が始まります。こちらとしては暴走しないように粘り強く監視し、過去の間違った歴史だけは繰り返さないようにと願うばかりです。

昨日、樹々に積もった雪がさらさらと朝の光を浴びて散っていく様(しづり雪)が鮮麗です。

そこで一句。

しづり雪 一喜一憂 時うごく

2141.jpg

昨日の雪景色

2026/02/06
【第2140回】

深海洋燈の「戦争で死ねなかったお父さんのために」を、すみだパークシアター倉にて観劇。この集団は劇団新宿梁山泊に所属していた人たちが立ち上げた劇団です。今回は「つかこうへい祭り」と銘打って「熱海殺人事件~売春捜査官~」との二本立。それにしても2010年に亡くなって16年経った今でも彼の作品は毎年どこかで必ず上演されているという人気である。今回の公演も、元の作品に時事的なネタを交えながらショー的要素もふんだんに盛り込みながらの熱演であった。在日二世でもあるつかさんは時代の切り取り方が独特であった。国家、人間に対しサディスティックとマゾヒスティックな部分を抉り出し、究極は愛へと昇華していく。その劇作法は、演じる役者にとって己の感情を最大限に活かせる魅力あるものであり、完全燃焼を好むものにとっては魅力ある戯曲ではないだろうか。

つかさんの台本の創り方はこれまた独特の方法であった。稽古場での役者の動き感性を見極めながら、つかさん自身が台詞を発し(口立て)役者はその台詞を瞬時に暗記して復唱し芝居を続けるスタイルで一本の芝居を創っていく。

当時、つかこうへい事務所の看板俳優であった風間杜夫も稽古場で「風間、ええ恰好するな!お前のずるいところ、ダメなところださんかい...」と何度もダメ出しを喰らったそうだ。

彼の遺書の原文が両国シアターΧに掲示されています。

「友人知人の皆様、つかこうへいでございます。思えば恥の多い人生でございました。先に逝くものは、後に残る人を煩わせてはならないと思っています。私には信仰する宗教もありませんし、戒名も墓も作ろうと思っておりません。通夜、葬儀、お別れの会等も一切遠慮させて頂きます。しばらくしたら、娘に日本と韓国の間、対馬海峡あたりで散骨してもらおうと思っています。今までの過分なる御厚意、本当にありがとうございます」

2140.jpg

すみだパークシアター倉からの眺め

2026/02/04
【第2139回】

久しぶりに寺山修司を読み返しています。寺山修司と言えば1970年代、演劇実験室「天井桟敷」を結成し、当時、紅テントで人気を博していた状況劇場と張り合っていましたね。おいらも市外劇も含め何本か観劇しましたがなんとも摩訶不思議でとんがった印象でした。見世物として、不条理劇として既成の価値観をあざ笑うかのように展開していた印象が強かった。1974年に脚本監督した映画「田園に死す」を観た時に、寺山さんの短歌に彼の原点をみる思いがしました。その後も精力的に活動していたのですが1983年に47歳という年齢で亡くなりました。先日もNHKの「日曜美術館」で懐かしい顔を拝見したのですが、青森訛りで誠実にインタビューする姿に、彼の朴訥な人間性を改めて思い知らされました。

 

かくれんぼの鬼とかれざるまま老いて誰をさがしにくる村祭り

見るために両瞼をふかく裂かむとす剃刀の刃に地平をうつし

濁流に捨て来し燃ゆる曼珠沙華あかきを何の生贄とせむ

亡き母の位牌の裏のわが指紋さみしくほぐれゆく夜ならむ

吸ひさしの煙草で北を指すときの北暗ければ望郷ならず

 

映画「田園に死す」のなかでも寺山さん自身が朗読しているのですが、表現を超えたより深い精神性に惹かれます。そんな思いで昨日、映画のサントラ盤を久しぶりに聴きました。

2139.jpg

田園に死すサントラ盤

2026/02/02
【第2138回】

先週の土曜日は、新宿シアタートップスにてトラッシュマスターズ第43回公演「わたしの町」を観劇。現代社会の闇に鋭くメスを入れ、徹底的に問題提起してきた中津留章仁の最新作である。現代演劇において今を描く作家がいなくなったときに演劇は衰退するかもしれない。勿論、演劇も娯楽の一部である以上、エンタメ性がないと飽きられてしまう。いつもながら恐れることなくこの劇団の真正面から現実に向き合っている姿勢に先ずは拍手を送りたい。

今回の芝居は、北海道のある過疎の町の話である。この手の問題は日本のあちこちで深刻なこととしていつも話題になる。産業は漁業、農業、林業という一次産業で、どれも後継者不足で若者は出ていくばかり。これも言ってみれば国策の無能から発したことであり、亡国為政者の責任がもっとも大きいのだが。地元高校の閉校が持ち上がり、子どもたちを巻き込んだまちづくりに向けて、大人たちの試行錯誤が始まる。休憩を10分挟んで、数年後、子供たちも大人になり男女間の恋愛事情も交えながら町おこしも少しづつ前進していく。どこにでもあるストーリーなのだが、笑いも交え2時間50分という長丁場を飽きさせなく引っ張っていく中津留の手腕は見事だ。

この国が抱えている難題はあまりにも多く、深刻すぎる。一週間後にはこの国の未来を決める選挙が迫っている。ほんまによーくアタマを巡らせて貴重な一票を入れてくんしゃい皆の衆。

2138.jpg

よか芝居です!

2026/01/30
【第2137回】

今日も寒い日ですが、乾いた空気の中で青空と雲が見事にマッチした空でした。こんな空を眺めていると、ふらっと旅に行きたくなりますね。そんな時に見つけた本が「世界100ヵ国の旅で、出会った人たちが教えてくれた、人生で大切なこと」。旅人KAD(かど)さんが記したエッセイです。ごく普通に建築士として仕事していた著者が、移住先を探して世界中を旅し、そこで出会った人々との対話から、人生で大切なことを学び、旅先での出会いと発見をSNSで発信し、昨年末に出版したばかり。

僕が好きなスペインの件にはこんなことが書かれていました。

 

スペインを旅してたとき、夜に地元のバルで飲んでたんです。そしたら、隣の陽気なスペイン人のおっちゃんと仕事の話で盛り上がって、文化の違いってやっぱ面白いなぁと。で、日本では「休日にちょっと仕事しちゃう」なんてこと割とあるじゃないですか。僕もつい癖で、休みの日にメール返したり資料つくったりしちゃうんですけど、ふと気になって、尋ねてみたんです。「ねえ、スペインでは休日に仕事することあるの?」そしたらおっちゃん、急に顔つき変わって、「それはな、犯罪や」って。え?いや、こっちは「あるあるエピソード」のつもりで聞いただけなのに、突然の重罪扱い。「仕事と休みはきっちり分ける。バケーション中にメール?それは家族への裏切りやで」と言われてしまいました。

その後、ホテルに帰って無意識にスマホで仕事のメール開いた瞬間「俺、いま密輸でもしてんのかな?」って罪悪感で震えたよね。

 

世界の場末で出会った庶民の人達から耳にした言葉が心地よく響いてくるのは、著者自身が心開いて旅していたからに違いない。

2137.jpg

今日の空

2026/01/28
【第2136回】

今日もどんよりと曇った寒い一日です。

昨年11月末にスーパーで購入したボラの卵巣がやっとカラスミになりました。それはそれは我が子を育てるような過程でした。まずは針で血抜きをしてから数回の塩漬けを繰り返し、それが終わったらお酒と焼酎に浸し数日間冷蔵庫で寝かし、頃合いをみてネット網の中に入れ天日干し。ベランダに干しているネットの中の我が子の成長が実に楽しゅうございます。色が変色していくさま、柔らかいものから次第に固くなっていく20日間はハラハラドキドキでもありました。なにせ初めての取り組みですから果たしておいらが口にしたことがあるあの絶妙な味が出せるのであろうか?何とも不安な日々でもありました。普段、ベランダ内になかなか踏み込んでこない鳥がネット網を見つめてるときなどは明らかにカラスミから発する匂いに惹かれてきているに違いないと確信しました。留守中にネットを食い破り持ち去るかもしれないとか、お日様の強弱で失敗に終わるのではないかとか...でも、徐々に固くなり本来のカラスミの色に近づくにつれ、何となく美味しい我が家のカラスミの誕生を予感した次第です。

そして、いよいよネットから取り出し包丁を入れ、最初の一切れを口にしたときの感激は何とも言えないものでした。何事もそうですが、手塩をかけて育てたものが一人前になった喜びは何ものにも代えがたい。よしゃ!来年はもっと数を増やして大量のカラスミ作りに励みたいと思った次第です。

2136.jpg

ネットで育つカラスミ

2026/01/26
【第2135回】

週明け雪の被害が各地で拡がっています。北海道千歳空港に7000人が足止めされ空港内で一夜を明かすなんてことも起きています。こちらも「風を打つ」山陰公演、雪のさなか昨日で無事終えることができました。現地の演劇鑑賞会に皆さんのお陰であり、キャスト、スタッフの努力の成果だと思っています。世界的な気候変動のせいでなかなか先が読めない状況になっています。それにしても、今回の突然の国会解散、大雪の中で苦心惨憺しながら候補者の掲示板を準備している様を見るにつけ、こんなもの本当に必要なのかしら?なんて思ってしまいます。選挙の経費に予備費855億円が閣議決定されたなんてニュースを聞くと、ほんまにこの国の政治に不信感が募ります。欧米の国での賃金が30年で倍になったのに対し日本は低賃金の国に落ちぶれてしまいました。腐れ切った自民党、原発、沖縄辺野古に対し頑なに反対していた立憲が中道改連合なるものに寄り集まった途端にぶれぶれになり、あとの政党も権力の様子を窺う風見鶏状態。れいわ新撰組も頑張っていた太郎さんが病に伏し、社民党、共産党もぶれてはいないのだが刻々と変化する国際情勢に対してどうなのか?なんて状態でございます。

支持政党無しのおいらとしては一体全体、どの政党に、そして誰が良いのやら悩ましいところです。只一つ心配なのが、若い人たちの投票率が上がったのは良しとしても、投票の先の根拠が評判悪いSNSに依存している点です。新聞、本を読むなり、若者同士で激論したりもっともっと視野を拡げて欲しいもんでございます。

2135.jpg

睦月終盤の夕暮れ

2026/01/23
【第2134回】

昨日は埼玉県上尾市文化センターで上演した「モンテンルパ」を観に行ってきました。寒い日に関わらず多くの観客で座席は埋まっていました。この芝居も今回で4回目となります。第二次世界大戦で、日本が加害者でもあり被害者でもあることを色濃くあらわした作品です。加害者の視点は事実であり消し去ることは出来ません。ロシアがウクライナに侵攻している以上に、日本とは全く歴史的にも領土と言えないアジア諸国を侵略し残虐な行為を行ったことの反省なくしては真の平和を唱えることできないと思っています。

渡辺はま子を演じる島田歌穂さんの最後の台詞が胸に突き刺さります。20世紀大晦日、横浜の港で、明日から21世紀が始まる前日に「21世紀に戦争は無くなるでしょうかね...」

その願いも空しく、現実はおそろしい様相を呈しています。

だからこそ、この芝居を上演する意義があるのでは...この国もなんだか戦前の序章を感じさせるような気がしてなりません。こんな時に、この芝居に登場する大和田獏さん演じる加賀尾秀忍みたいな人の出現が待たれるところです。僧侶でありながらフィリピンにある日本人捕虜が多数収容されてる刑務所に赴き、フィリピン大統領、マッカーサー、ローマ法王などと交渉し戦犯の日本への帰国を実現させた外交手腕。ましてや資源も乏しい日本、外交力こそが世界に存在感を示し得る最良の道だと思います。

来月の選挙、そんなことを可能にしてくれる人を選びましょうね皆の衆。

2134.jpg

「モンテンルパ」カーテンコール

2026/01/21
【第2133回】

今年一番の寒波が日本列島を襲来。現在「風を打つ」中国地方を巡演中ですが何とか無事に上演できればと...明日から鳥取、島根と続きますので心配です。

いやはや昨今の世界状況、なんだか第三次世界大戦前夜みたいな様相を呈しています。そんな時代に警鐘を鳴らすかのように、今年87歳になるゴスペルシンガー、メイヴィス・ステイプルズの最新アルバム「SAD AND BEAUTIFUL WORLD」を購入。彼女は11歳で父が率いるゴスペルグループに参加して76年になる大御所である。今も尚、偉ぶらず、驕らず、自然体で歌い続けている。日々を大切に過ごし、その天賦の才能は勿論のこと、人間としてありきたりな表現などはばかれるほどの圧倒的な存在感を放っている。世界から戦争をなくすには、まず自分自身が平穏で、いつも喜んでいなければと歌う「ウィ・ガット・トゥ・ハブ・ピース」。アルバムの最後を飾る「エブリバディ・ニーズ・ラブ」ではスライドギターが淡々と響く中、メイビスはシンプルに語りかけるように繰り返す。

「ときにわたしは沈んでしまう。ときにわたしは怒ってしまう。日々はあまりにも早く過ぎ去ってしまう。世界は悲しく、それでも、世界は美しい」

彼女の生きてきた体験から発する深く、静かな歌声が聴く人の心に染み渡る。この世界になんの期待を持てなくなっても、世界のほうからまだまだあなたに期待してますよと語りかけてくるようだ。

どんな苦難を強いられようと、世界の表現者はアートを武器に平和への希求への願いを諦めないことを立証するベストアルバムだ。

2133.jpg

寒空

2026/01/19
【第2132回】

理性的な変人たち第5回公演「口いっぱいの鳥たち」を観劇。このグループは東京芸術大学卒業生を中心に結成された劇団。これまで全て拝見しましたが、なかなか面白いことをやっているなと楽しみにしていました。今回の芝居はまれに見る難解な芝居。途中休憩を入れての2時間半、パイプ椅子に座っての観劇は後期高齢者にとってはなかなかハードですな。1986年に英国で書かれた原作戯曲そのものが難解、実験的且つ前衛的ときているもんだから役者も相当苦労したのではなかろうか...演出もそこを何とか身体表現を絡め、目の前の物語を前に進める努力をしたことは理解できるのだが、普通の能力ではとても追いつけないほどの内容。こうなると、この手の芝居の時間の過ごし方は己の想像力を駆使しながらあーでもない、こーでもないと妄想ゲームに走るしかない。一方で、真摯に演じている役者さんも理解して表現しているのだろうか?わからんけど取り敢えず身体を投げ出すことによって正解の道を模索しているのだろうか?そんなことを勝手に思い巡らしているときに、突如怒鳴り出す芝居をされると一気に冷めてしまい、非日常な芝居から現実の戻される瞬間に戸惑ってしまう。でも芝居なんて何でもありの世界ですから、リアリズム演劇糞くらえ!といった人にとっては楽しめる芝居に違いない。

帰りに会場近くの新井薬師梅照院にお参りしてきました。このお寺は「治眼薬師」として知られています。視界不良の政治家の皆さん方、選挙前に是非お参りして治療されることをお頼みいたします。一部の選挙民の皆さんも、今一度この国の行方を左右する一票ですから、しかとした眼力を期待してまっせ!

2132.jpg

新井山梅照院

2026/01/16
【第2131回】

いやいやなんですか!この国の政治屋さんの慌ただしさといったら冗談で済みませんことよ。物価高で苦しんでいる庶民の人たちのことをこれっぽちも考えていないことが良く分かりました。選挙費用600億、税金使わないで立候補する人たちが支払ってくださいなといいたい。私利私欲に塗れた政治屋さんに、今度こそは鉄槌を下さねばと思いますが、この国の人達がどれほど真剣に考えているのか?2月に選挙が実施されても、そんなに期待できないところがなんとも寂しい思いです。今こそ戦争を是とする輩は当然、怪しいお金を集めている政党、政治家ではなく政治を商売にしている2世議員などなど胡散臭い奴らに絶対投票しないこと。と言っても、過去幾度となく選挙しても平成24年以降は投票率が60%に達したことがありません。これはまさしく、もはや政治に期待していないという証拠。

誰に投票してもマシな政治をする輩がいないという絶望感がこの国を覆い尽くしています。

今のところ2月8日に衆議院選挙が実施される予定なんですが、この日に大阪知事、市長の選挙もやろうなんておかしな首長もいるんですから何考えているんですかね?権力にすり寄ったり、窺ったりする風見鶏みたいな政党は頭から信用できませんな。

昨日もスーパーに買い物に行ったら、割引シールを貼ってくれることを今か今かと待ちわびている人たちが沢山いましたね。政治屋のあんたら高級レストランで飯食ってる時間あったら街のスーパーに行って現状を目かっぽじって見らんかい!

2131.jpg

今日の空

2026/01/15
【第2130回】

日本橋「三越劇場」で「わが歌ブギウギ-笠置シヅ子物語」観劇。老舗の百貨店に劇場を持つなんてなかなか粋な計らいだと思います。1927年(昭和2年)に「三越ホール」としてオープンし、百貨店の中にある劇場としては世界的に珍しい存在です。ロココ調の華麗な装飾が特徴で、石膏彫刻や大理石の壁、ステンドグラスやステンシルで彩られた天井など、当時の美しい意匠が大切に守られています。これらの装飾は開場当時から変わらず、劇場全体に独特の一体感を生み出しています。そんな歴史的な劇場に足を運ぶだけでもワクワク感満載だと思いますが...過去には風間杜夫、下條アトムさんが出演した芝居を観に行った記憶があります。

今回は、トムにも出演していただいたキムラ緑子さんが笠置シズ子を演じるということで出かけた次第です。数年前、NHKの朝ドラでも話題になり戦前戦後に渡りエネルギッシュに「ブギの女王」として一世を風靡した彼女の姿を、なんとなく元気のない今の日本に活を入れたいという思いから舞台化したに違いありません。御年64歳になる緑子さんのパワーに圧倒されました。この日は3時間に及ぶ長丁場の舞台を2回こなすんですから、おいらも体力大丈夫かしら?と心配しちゃいました。そんな心配どこ吹く風、歌、演技ともあっぱれでございました。さすが実力派女優ですね!

劇場のフロアーには画廊、高級美術品などが展示され芝居を楽しんだ後にアートの世界を楽しんでくださいな...なんて配慮がなんとも憎いですな。

2130.jpg

早咲きの紅梅

2026/01/13
【第2129回】

先週金曜日は埼玉県草加市に行ってきました。草加と言えばやはりせんべいが頭に浮かびますね。草加では、良質な米、水、そして身近にあった良質な醤油が揃っていたため、醤油味の焼きせんべいが人気を博し、日光街道の名物として定着していったそうです。大学時代に草加出身の友達に貰った時の、炭で手焼きした香ばしい味が記憶にあります。

そんな記憶を想い出しながら、東武伊勢崎線の獨協大学前駅で下車し草加市文化会館に向かいました。「風を打つ」の初日(公開最終リハーサル)です。会場には600人ほどのお客様が集まっていました。平日昼間の公演なのにこんなたくさんの人達に来て頂き本当に感謝しかありません。会館の方の話によると、演劇の公演は本当に久しぶりだとのこと...これまで30年間、全国津々浦々いろんなところで芝居をやってきましたが、やはり生で演劇を鑑賞するということは小さな市町村ではなかなか機会がなく、どの会館も集客に苦戦してることをよく耳にします。音楽と違って芝居は台詞が命です、その吟味された言葉を集中しながら聴き取り想像力を働かせる行為自体がなかなか面倒なことがその一因ではないかと思います...でも、良質な芝居にはまり、その味を知ると演劇の面白さが日常に思わぬ効果を発揮するのも事実です。何といっても総合芸術の集大成なんですから...

この日の芝居も上々の出来で、会館を後にするお客様の表情も満足げでした。これから2月18日の千秋楽までキャスト、スタッフ何事もなく無事に公演を終えることを祈るのみです。

2129.jpg

カーテンコール

2026/01/09
【第2128回】

新しい年になって日々寒さが本格的なってきました。しかしながらウクライナがロシアの激しい攻撃により、南東部2州で電力供給がほぼ完全に停止したというニュースを聞くにつけ寒さに震えているウクライナの庶民のことを思うとなんのこれしきりと思ってしまいます。今年も新年早々、理不尽極まりないことが世界のあちこちで立て続けに発生しておりいつもながら人間の愚かさばかりが幅をきかせウンザリしています。

7日の日は七草がゆを食べました。セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ、このリズムカルな韻律を一気に連呼するだけで春の匂いを感じる。

「つゝましく箸置く七草粥の朝」この句からもいかにも新しい年の静謐な情景が目に浮かびます。この国の持つ嗜み、文化、本当に美しいものがたくさんあります。敗戦後、西欧文化が進出し、それに拍車をかけるように世界を覆いつくしたデジタル化の波、日本古来の繊細な美意識や自然を尊ぶ心が希薄になっている昨今、おいらは何とか昭和の時代を経験したことに感謝しています。何も想い出に耽り、過去に対する郷愁からの思いで語っているのではございません。若い頃、世界を放浪した体験からも日本文化の美意識を再認識した次第です。そんな国が、もしや他国の属国になってしまうかもしれないなんて事態が正夢になるなんてことが...現世は一寸先が闇でございます。

2128.jpg

夕暮れ時

2026/01/07
【第2127回】

今年の一発目の鑑賞はフラメンコ。高円寺にあるタブラオ・エスペランサに5日行ってきました。本場スペインに次いでフラメンコ人口が世界で2番目という日本。成程、青森のねぶた、徳島の阿波踊りに通じるものがありますね。大地にたたきつけるサパテオ(足を踏み鳴らすこと)、天空に向かって感情をより豊かに伝えるための手の動き。日本古来の土着的なお祭りとフラメンコが赤い糸で繋がっている感じがします。この日も、5人の踊り手とスペイン人の歌とギターで満員の会場は盛り上がっていました。今年77歳になるグラシアス小林さんも齢を感じさせないパワーに円熟味を加味した舞で存在感を魅せていました。

昨日は1月9日からスタートする「風を打つ」の最終稽古。今回は演劇鑑賞会、中国ブロック、関越ブロックでの23ステージ。2019年の初演からはや7年、こうやって一つの公演が長く上演されることこそ演劇に関わって良かったと実感する喜びと感謝そのものです。作品に命があるということを実証してくれています。昨日の最終稽古でも役者さんが楽しく活き活きと演じる姿を見るたびに、この芝居に登場する人物に慈愛が芽生え、より厚みのある像にしようとする意志を感じました。この芝居は水俣病という重いテーマだけに、どう展開していくかがポイントになると思っていました。昨日の稽古を見る限り、今回登場する家族が水俣病という病をバネにして、人として家族の一員としてよりポジティブに移行する様に人間が本来持っている命の輝きを痛切に思い知らされた次第です。

鑑賞会の皆様も、新しい年に相応しい満足して頂ける作品に仕上がっていますので楽しみにしていてくださいね。

2127.jpg

新春のスカイツリー

2026/01/05
【第2126回】

明けましておめでとうございます。

トムも今日が仕事始めです。正月休みは近場の温泉に浸かったり、高校、大学のラグビーをテレビ観戦したりと、のんびりゆっくりと過ごしていました。

今年こそは、世界が平和で心豊かでありますようにと願いも空しくトランプがやってしまいました。「力による平和」なんて言葉をいとも簡単に述べる彼の感性は弱肉強食を掲げる帝国主義者の貌そのものです。こんな人がノーベル平和賞を欲しがっていることもちゃんちゃらおかしくて笑い話にもなりません。この一件において彼がロシアのウクライナ侵略、台湾有事に関することに異を唱えることに正当性を持てなくなったことも事実です。

独裁者が世界を支配し、己の欲望に赴くままに進行すれば間違いなく第三次世界大戦に歩を進めることが現実になるに違いありません。

さて、この期に及んで日本はどうすれば良いのか?難しい判断が迫られていると思います。トランプと一体化すれば危険な未来が見えているし、自国の軍隊を強化しても所詮、中国、ロシア、北朝鮮には足元にも及ばないだろうし...とすれば、唯一の被爆国であることを世界にアピールし平和外交に全力投球する以外にないと思います。

今年もひとりひとりが、いま何を思考しどんな行動をするのか真摯な日々を送らねば取り返しのつかない結末が待っている...

2126.jpg

初詣・大宮八幡宮